雲上四季 - 米澤穂信の話|青春ミステリの条件と古典部シリーズを読んで思いついたこと。 米澤穂信の小説に登場する探偵役は謎に勝って女に負ける。 どういうことか。 まず、基本的に米澤作品の探偵役は謎解きに失敗しないということ。『愚者のエンドロール (角川文庫)』の途中経過をみるとちょっと微妙だけど、あくまでも「基本的に」なので目くじらを立てないでほしい。探偵役は提示された謎を楽々とクリアしている。 で、探偵役の自意識は肥大し、全能感に酔いしれ、かなりアレな状態になっているところを、ヒロインまたは準ヒロインの女性にガツンとやられてへなへなになってしまう。これが米澤作品における「探偵の敗北」だ。 もちろん、この構図にあてはまらない作品もある。たとえば、「Do you love me?」とか「11人のサト」とか。どちらも主人公は女性だし、後者はミステリですらない*1。だが、例外にこだわっていては先