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ブックマーク / 9bit.99ing.net (9)

  • Gamasutraでの「narrative」の用法 - 9bit

    先日ナラティブ関係の発表をした。レジュメは以下。 ナラティブを分解する――ビデオゲームの物語論 このなかで以下のように書いた。 ゲーム関連であるかどうかにかかわらず、英語圏で「narrative」という語それ自体に「物語」という以上の特殊な意味合いを持たせて使っているケースは、いまのところ見つからない。 英語圏で「narrative」と「story」を対置するような日常的用法も見当たらない。少なくとも、それらをテクニカルタームとして定義する物語論(後述)の文脈を除けば、両者はほとんど交換可能な言葉として使われる。 そういうわけで、英語の「narrative」に特殊な含意を読み込む必要もなければ、わざわざカタカナで「ナラティブ」と訳す必要もない。つまり、特殊な意味合いを持つ言葉としての「ナラティブ」は日語である。 この見解に対して、いくつかコメントをいただいた(ありがとうございます)。指摘

    Gamasutraでの「narrative」の用法 - 9bit
  • イェスパー・ユール『しかめっ面にさせるゲームは成功する』書評 - 9bit

    イェスパー・ユール『しかめっ面にさせるゲームは成功する: 悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』(Bスプラウト訳、ボーンデジタル、2015)の見をご恵投いただいたので、レビューします。 原著は、Jesper Juul, The Art of Failure: An Essay on the Pain of Playing Video Games(MIT Press, 2013)で、MIT Pressの「Playful Thinking」シリーズの一冊。このシリーズは、ゲームや遊びに関するユニークな議論をコンパクトなサイズで出すというコンセプトらしい。内容と文体からして、研究書と一般書の中間くらいの雰囲気がある。個人的にもこのシリーズには注目している。 ユールの著作の邦訳が出版されるのは初めてだ。人文系ゲーム研究の格的な研究書の邦訳も初めてと言えるかもしれない。ゲームデザインの

    イェスパー・ユール『しかめっ面にさせるゲームは成功する』書評 - 9bit
  • ゲームプレイの定義についての対話 - 9bit

    先々週くらいに、ゲームプレイの定義について井戸里志さん(@kan_jiro)とTwitterのDMでいくらかやりとりした内容が有意義だったので、転載します。 背景 まず背景を説明しておきます。きっかけは以下のツイート。 ゲームとは、プレイヤーにゲームプレイをさせることを意図して作られた仕組みである。 ゲームプレイとは、以下の条件をともに満たす思考または行為のことである。 1]ある目標の達成を意図している 2]楽しさがともなう ルールやインタラクティビティは質ではない。 — 井戸 里志 (@kan_jiro) September 23, 2015 最初の文で井戸さんは、ゲームを〈ゲームプレイさせるもの〉として定義しているわけです。つまり、「ゲーム」概念は「ゲームプレイ」概念によって定義されると主張している。これは、ある意味で「ゲーム」よりも「ゲームプレイ」のほうがより質的な(より分析のす

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  • ゲーム研究における美学の役割 - 9bit

    というか私の役割について。 先日モリス・ワイツの古典的論文を訳してアップしたんですが、その結論部分でいかにも美学ってかんじの上から目線の文章があって、あらためて美学と自分のお仕事について反省しているところです。 M. Weitz「美学における理論の役割」|まつなが|note われわれ哲学者としては、芸術の定義とその背後にあるものの区別をいったん理解したなら、伝統的な芸術理論に寛大な態度で接するのが適切だろう。〔…〕理論の役割を理解することは、それを定義――論理的に言って失敗が運命づけられているもの――として理解することではない。 ここで「芸術理論」と呼ばれてるのは、「芸術とはxxなんである」という「定義」を主張する俺理論みたいなやつで、哲学的に洗練されてないような理論のこと。ようするに、ワイツは、「そういう俺理論が言ってることは定義としてはおかしいんだけど、それはそれでそれなりの役割と意義

    ゲーム研究における美学の役割 - 9bit
  • ゲーム研究と「形式」 - 9bit

    遅まきですが、七邊信重さんによる日デジタルゲーム学会2013年度年次大会での発表資料を読みつつ思ったことなど。 140310 digra_japan_presentation ゲーム研究者の日常(Daily Life of Game Researcher): 学会発表「『形式』から『文脈』へ―イェスパー・ユールのゲーム学再考」をアップしました。 ゲーム研究において「形式」(form)、「形式的」(formal)、「形式主義」(formalism)といった言葉がつかわれる場合の留意事項をまとめたあとで、七邊さんの発表資料についてちょっとだけコメントします。 「形式」のいろいろな意味 「形式」という言葉それ自体がそもそも膨大な用法(専門的であれ日常的であれ)を持つが、ゲーム研究でもそれは同じである。あいまいな用法は除外してそれなりに明確な意味をもってつかわれている場合にかぎっても、かなりのバ

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  • シミュレーションと表象 - 9bit

    先日の表象文化論学会大会でのAIとジェンダー表象のパネルにいくらか関連した雑記。ビデオゲームについてふだん考えていることとかかわりのある話なので、思うところを書いておく。 参照したものは以下(学会自体には行ってません)。 表象文化論学会第9回大会パネル発表レジュメ:電子の時代のピュグマリオン:ポストヒューマン技術のジェンダー化をめぐる文化的想像力 | Kyoko Ozawa - Academia.edu 西條 玲奈「人工知能にジェンダーは必要か:ソーシャルロボットとしてのAIと被行為者性の観点から」表象文化論学会第9回大会 2014年7月6日 表象文化論学会パネル「知/性、そこは最新のフロンティア——人工知能とジェンダーの表象」に関するツイート - Togetterまとめ 表象文化論学会パネル「知/性、そこは最新のフロンティア——人工知能とジェンダーの表象」後日談 - Togetterまと

    シミュレーションと表象 - 9bit
  • ゲーム研究と「ナラティブ」 - 9bit

    「ナラティブ」(narrative)という用語がゲーム研究や周辺領域において使われる場合の留意事項いろいろ。たぶん偏っています。 以下、カタカナにする意味もあんまりないので「物語」で通します。 「物語」のいろいろな意味 イェスパー・ユールは、著書 Half-Real のなかで、「物語」という用語が「かなり細かく特定しないかぎりは実践的に無意味」になるくらい多様な用法を持っていることを指摘したうえで、そのうちの主要な用法を6つ挙げている(Juul 2005: 156-157)。 複数の出来事の提示(presentation)としての物語。これは、この言葉の原義かつ文字通りの意味、つまりストーリーを語ること(storytelling)である(Bordwell 1985; Chatman 1978)。 固定され(fixed)あらかじめ定められた(pre-determined)出来事連鎖としての物

    ゲーム研究と「ナラティブ」 - 9bit
    gento
    gento 2013/09/03
    先行研究まわり。分かってるつもりでいても、奥は深い。
  • 最近出たゲーム研究の本 - 9bit

    誰得感がはんぱないですが、2012年に出た人文系ゲースタのアンソロジー/入門系のを4冊ほど紹介しておきます。 The Philosophy of Computer Games ヨーロッパで定期的にやっているPhilosophy of Computer Games Conferenceで発表されたものを中心にまとめたアンソロジーです。イントロにあるように、コンピュータゲームの哲学の仕事は、(1) コンピュータゲームについてのアカデミックな研究がしばしば持ち出す基礎的な諸概念を批判的に吟味し、明瞭化する、(2) 伝統的な哲学的諸問題をコンピュータゲームの文脈のうちで扱う、の2つであるとされます。 全部で17個の論文が3つのパートに分けられるという構成になっています。パート1はプレイヤーのプレイ経験の話、パート2はゲームと倫理の話、パート3はゲーム世界あるいはフィクションの話が中心です(目次は

    最近出たゲーム研究の本 - 9bit
  • 「リアリティ」について - 9bit

    おかず : http://togetter.com/li/412739 再現芸術についての「リアル」とか「リアリティ」とかいう言葉はなにを指しているのか、という問題について思ったこと。 思いつきメモなので、美学的な裏づけはありません(きっと膨大な議論の蓄積があるはず)。あと、英語の「reality」は日語とはまたちがった意味合いを持つと思うので、日語に限定します*。 再現芸術について「リアル/リアリティ」がつかわれる場面において問題になる側面は、おおむね以下の3つに区別できるのではないか。 ① 写実性 : 再現対象との類似度 ② 忠実性 : 実際に存在する対象との類似度 ③ 迫真性 : 経験の強度 ① 写実性 表すものと表されるものが似ていること。記号論で「iconicity」と呼ばれてきたやつです*。 絵画などの画像的再現芸術における視覚的写実性はわかりやすいけど、たとえば、筋書きの

    「リアリティ」について - 9bit
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