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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (14)

  • 電気で走るナノ四駆登場! : 有機化学美術館・分館

    11月13 電気で走るナノ四駆登場! 最近は自動車もエコカーが流行りで、日産のリーフや三菱のi-MiEVなどの電気自動車も市場に投入されて話題を集めています。そして分子の世界でもついに、電気で走るナノサイズの車、「ナノカー」が登場してきました。以前からこのジャンルではライス大学のJames Tour教授が先行しており、2005年にはタイヤ部分にフラーレンを用いたマシンを発表していました(論文・館での紹介)。ただしこれは車の形を模しただけで、電子顕微鏡のプローブ(探針)で押せば動くものの、自走するものではありませんでした。 Tourらのナノカー1号 さらに翌年、Tourグループは分子モーターを組み込んだナノカー2号を発表します(論文・館での紹介)。このモーターはオランダのFeringa教授が考案したもので、光を当てると一方向に回転する仕組みになっており、これが「地面」をひっかいて前に進む

    電気で走るナノ四駆登場! : 有機化学美術館・分館
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    grafi 2011/12/13
  • 「創薬科学入門」11月28日発売 : 有機化学美術館・分館

    11月20 「創薬科学入門」11月28日発売 以前より予告しておりました「創薬科学入門」ですが、11月28日付でオーム社より発売ということに決定いたしました。定価は税込み2100円です。タイトルは「化学」でなく「科学」になりました。筆者にとり、4冊目の著書ということになります。 表紙はこれ。 もともと「MedicalBio」誌に連載していた、創薬化学研究の記事に加筆してまとめたものです(サンプルはこちらで読めます)。製薬企業のプロのメディシナルケミストが読む教科書というよりも、学生さんや薬理担当者などが読む感じをイメージして書いています。あまり堅苦しくなく、読み物としての要素も加えました。また現場にいた者の強みを生かし、FBDDや抗体技術など、創薬の「今」についてもできる限り盛り込んでいます。目次は次の通り。 はじめに 第1章 医薬とは何か 第2章 医薬が世に出るまで 第3章 医薬のベスト

    「創薬科学入門」11月28日発売 : 有機化学美術館・分館
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    grafi 2011/12/13
  • スライムの青のこと : 有機化学美術館・分館

    12月1 スライムの青のこと さて昨日からツイッターなど眺めておりますと、どうやらこいつが大人気のようであります。 ずどーん。 ドラゴンクエスト発売25周年を記念した、ファミリーマート限定で売っている「スライム肉まん」なのだそうです。実は筆者はドラクエなるものを一度もやったことがなく、この形態を見ても何の感興も呼び起こされないのでありますが、まあかつてやりこんだ方々にはたまらない商品なのでありましょうね。 しかしこの商品、色が普通の肉まんにはあり得ないスカイブルーです。青ってのは基的に欲を失わせる色なんだそうですが、まあこの場合やむなしでしょう。しかしこの色を何で出しているのか、化学者としては気になるところです。青色1号か何かかなと思ったら、「合成着色料を一切使用しておりません」とのことです。天然由来のものってことですね。 青色1号。いかにも人工な構造。 実は生物界にあって、青という色

    スライムの青のこと : 有機化学美術館・分館
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    grafi 2011/12/13
  • プルシアンブルーの肖像 : 有機化学美術館・分館

    8月21 プルシアンブルーの肖像 有機化学を専門としてやってきた筆者でありますが、最近は他のジャンルのお話を聞かせていただく機会が増えております。ということでたまには有機の枠をはみ出し、「無機化学美術館」でいってみることにしましょう。 青という色は、我々にとって最も親しみやすい色の一つです。何しろ空の色も海の色も青ですから、ブルーを見ていると心が安らぐというのは、生き物として当然ともいえるでしょう。 ところが青という色は、自然界にあっては意外に見かけない色でもあります。青い花や昆虫はめったに見かけませんし、青い宝石もサファイアなどごく一部です。青いバラが不可能を、青い鳥が幸せを象徴すると言われるのも、青という色がめったに見られないことの裏返しといえるでしょう。 ということで、青色の染料や顔料は昔から珍重されてきました。例えば植物の藍は布地を堅牢に染められる貴重な染料であったため、徳島藩は江

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    grafi 2011/09/15
  • 喪われたセシウムの名誉のために : 有機化学美術館・分館

    9月4 喪われたセシウムの名誉のために 今最も頻繁に取り上げられ、忌み嫌われている元素といえば、セシウムをおいて他にないでしょう。福島第一原発から出た放射性セシウムの処置は、もちろん大問題であるに違いありません。 ただし、何も全てのセシウムが悪者というわけではありません。問題になっているのはセシウム134・137など放射性のセシウムであり、安定同位体であるセシウム133は毒性もほとんどなく、有用な使い道のある元素です。ということで今回は少しでもセシウムの名誉を回復すべく、そのあたりのお話を。 ・セシウムとは セシウムは今から一世紀半前の1860年、ブンゼンとキルヒホフによって発見されました。炎色反応のスペクトルに青い線が見られたため、ラテン語の「caesius」からとって「セシウム」の名が付いています。英語ではcaesiumと綴り、「シージアム」に近い発音ですが、スペルが紛らわしいためか「

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    grafi 2011/09/15
  • 保護基をめぐる恐怖譚 : 有機化学美術館・分館

    2月19 保護基をめぐる恐怖譚 今回はちょっと趣向を変えて小咄、というか有機合成の専門家なら身の毛もよだつような恐ろしい話。以前どこかで見かけたものを、筆者がちょっと脚色したものです。 ================ 有機合成化学における最大の悪夢のひとつは、全合成の最終段階近くまで来て保護基が外れないという事態だろう。よくあるケースだが、ただこれだけのことで今までの営々とした苦労が全て水の泡になるのだからたまらない。さまざまな条件を検討し、必死の苦労を重ねてもダメな時はダメだからこの世界は厳しい。 ベンジル基という保護基がある。ヒドロキシ基やカルボキシ基の保護基としてよく使われる。もののによれば、各種の還元的条件で問題なく外れるとされている。しかし基質が複雑になってくると、どうにもうまく脱保護ができない時も少なくない。 A君もそのケースだった。数十段階を踏んだ全合成の最終工程、これさ

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    grafi 2011/02/22
  • 知られざる接頭辞 : 有機化学美術館・分館

    1月24 知られざる接頭辞 また間が空きました。他でいろいろ原稿を書いたりしてるためですので、別にブログに飽きたとかさぼってるとかではないです。まあいろいろしんどいのです、筆者も。そのようなわけで、今回はウィキペディアで拾ってきたネタでお茶を濁そうと思います!(←堂々と言うな)。 化学の世界にはいろいろな接頭辞があります。モノ、ジ、トリ……というのもそうだし、シスとかネオとかアザとかいろんなのがあります。しかしいつの間にかすたれ、あまり使われないものも少なくありません。位置を表す接頭辞には、そうした死語に近い言葉がいくつかあります。 ベンゼン環上の置換位置を示す接頭辞の(o-)・メタ(m-)・パラ(p-)はよく知られていることでしょう。これは堂々たる現役です。 左からオルト(o-)・メタ(m-)・パラ(p-) しかし3置換ベンゼンにも接頭語があることはあまり知られていないのではないでしょう

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    grafi 2011/01/26
  • エイズ治療薬が実る草(?) : 有機化学美術館・分館

    12月25 エイズ治療薬が実る草(?) 先日「ヒ素生物」について紹介しましたが、その後どうも旗色が悪くなりつつあるようですね。NASAともあろう者がそこまでうかつなことはすまいと思っていたんですが。まあ後続論文を待つとしましょう。 さて、それとはちょっと違う意味で「何だこりゃ」的論文がありましたのでご紹介。インドのCentral Institute of Medicinal and Aromatic Plantsというところから、Tetrahedron誌に報告されたものです。ヒメフウチョウソウという黄色い花をつける植物の種から、エイズ治療薬ネビラピンが単離されたというものです。「抗エイズ作用の化合物」ではありません。「抗エイズ薬」が単離された、というのがミソです。これだけ聞いて「え?」と思うあなたは、創薬研究の専門家でしょう。 ヒメフウチョウソウ(©Pedro Acevedo-Rodrig

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  • グラフェンにノーベル物理学賞 : 有機化学美術館・分館

    10月6 グラフェンにノーベル物理学賞 日は所用があり、ノーベル賞の発表をリアルタイムで見ることができませんでした。で、用事が終わってからツイッターにアクセスしてみたら(これが一番手っ取り早い) @Nobelprize_org 2010 Nobel Prize in Physics awarded to Andre Geim & Konstantin Novoselov for " two-dimensional material graphene" グラフェン?ぐぐぐグラフェン?ちょっと!他に炭素であるでしょ!ほれ、筒のやつ!細長いの!受賞者2人でしょ?まだ枠ひとつ空いてるでしょ!今からでも遅くない!スウェーデンの人!一人追加でお願い! うーん、ダメかなあ。まあそういう判断だから仕方ないですが。 ***** さてグラフェンとは何か。実はある意味非常に平凡な物質で、最も身近な元素である炭

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    grafi 2011/01/26
  • ホメオパシーのこと(2) : 有機化学美術館・分館

    8月29 ホメオパシーのこと(2) 前回よりの続き。 このようなわけで事件以来ネットでもホメオパシー叩きが盛り上がり、ウィキペディアなどもここのところ記述が急速に先鋭化しつつあるようです。しかしホメオパシーを信奉する人たちに、「学術会議の談話」や「科学的臨床試験の結果」を見せつけ「どうだお前らは間違っている、今すぐその信仰を捨てろ」と迫って効果があるかというと、たぶんそうではないだろうという気がします。 ホメオパシーのなど見てみると、200年の歴史があるだけあって、とうてい虚構と思わせないだけの壮大な体系が構築されていることに驚かされます。また多くの有名人の信奉者を抱え、自然への回帰と薬漬けの現代医療に対する批判という、病に苦しむ人の心を動かす物語をも備えています。治療に使われる各種のレメディも、ハイペリクム(オトギリ草)、メルクリウス(水銀)、アコナイト(トリカブト)、カレンデュラ(キ

    ホメオパシーのこと(2) : 有機化学美術館・分館
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    grafi 2010/09/04
  • 有機化学美術館・分館:鉄のにおいの正体

    11月1 鉄のにおいの正体 カテゴリ:有機化学 臭いがする化合物というのは、多くの場合適当な分子量を持った有機化合物です。しかしある種の金属、例えば鉄からは臭いを感じることがあるのも事実です。校庭の鉄棒や、鉄製の工具などを触った後の手からはなかなか抜けない独特の臭いがして、閉口した記憶をお持ちの方も多いことでしょう。 しかしこれは考えてみれば不思議なことです。臭いを感じるということは、化合物が揮発して鼻の感覚細胞に付着して初めて起こることですが、沸点1535度の鉄がそう簡単に揮発するはずもありません。ではあれはいったい何の臭いなのでしょうか? このほどライプチヒ大学のGlindemannらのチームがこの謎(?)の解明に挑みました。彼らは鉄イオン(Fe2+)と人工の汗とを人間の皮膚に作用させ、発生する化合物を捕らえてガスクロマトグラフィーで分析する実験を行ったのです。結果、鉄イオンに触れた皮

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    grafi 2010/07/27
  • 研究者も表現力の時代(?) : 有機化学美術館・分館

    6月15 研究者も表現力の時代(?) 先日「化学者のつぶやき」さんにて、新創刊の「Chemical Science」誌にGIFアニメのグラフィカルアブストラクトが載っているという話題がありました。まあそっちに行くよなあやはり、という感じでしょうか。 今までも学術誌は、表紙のイラスト化、カラー化、グラフィカルアブストラクトの導入など、一貫してヴィジュアル性重視の方向に変化してきました。ACSやAngewandteなど、各ジャーナルのサイトも派手になる一方です。 で、今後は紙媒体を廃止し、ネット配信だけになることが検討されていると聞きます。となると論文はPDFファイルである必要すらなくなるかもしれず、FLASHで分子がくるくる回ったり、グラフがうねうね動いたりするジャーナルなんかもできるのかもしれません。まあそんな目がチカチカしそうな論文、誰も読みたくないかもしれませんけど。 すでに表紙などに

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    grafi 2010/06/15
  • 芳香環が負けた話。 : 有機化学美術館・分館

    4月26 芳香環が負けた話。 有機化学における芳香族性の重要さは、今さら言うまでもないでしょう。ヘテロ環を含め、芳香族化合物は生体分子から医薬、高分子材料などあらゆる分野に見られます。反応を受け付けやすく不安定なはずの二重結合が、3つ環になることによって極めて安定になる――考えてみれば不思議なこの現象が、いかに化学という分野を奥深いものにしているかはかり知れません。 しかし、そんな安定な芳香環が崩れてしまうことも世の中にはあります。今回は、そんな芳香環が負けた話を2題。 マンチェスター大学のA. J. Lawrenceらは、ベンゼン環に2つの5員環ラクトンが縮環した形の分子を合成しました(論文)。この化合物をX線結晶解析で調べたところ、予想される図1の形ではなく、図2の構造をとっていることが明らかになりました。普通安定であるベンゼン環ではなくキノイド型の環、ケト型でなくエノール型に偏ってい

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    grafi 2010/05/15
  • タミフルのある幸運 : 有機化学美術館・分館

    10月25 タミフルのある幸運 近く行われる学会でインフルエンザ治療薬について語るため、資料作りを進めています。いろいろと調べてますが、やはりタミフルという薬は凄いのだなあという思いを新たにしています。 (タミフル) 昨日(10月24日)、アメリカではオバマ大統領が新型インフルエンザ問題で「国家緊急事態」を宣言しました。アメリカではインフルエンザの感染者が数百万人、死者が1000人を突破し、いまだ鎮静の兆しが見えないことからついにこの宣言に踏み切ったようです。これによって議会の手続きなどを経ずに措置が可能になりますので、アメリカは今後思い切った手段を打ってくることになりそうです。 インフルエンザ患者に対する治療方針は、今のところ日米で大きな差があります。アメリカでは、米疾病対策センター(CDC)が「健康な人は新型インフルエンザに感染しても、タミフルやリレンザなど抗ウイルス薬による治療は原則

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    grafi 2009/11/12
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