昨年の世界の自動車販売は、内需基盤の重要性を再認識させた。世界金融危機の影響が少なく、より早く販売が回復した国の多くは、内需基盤の分厚い新興国だった。先進国でも、低公害車への買い替え奨励策が奏功した国は、内需基盤の厚い国だ。 日本の自動車産業も2010年に入って収益を急速に回復しつつあるが、アジア新興国で販売を伸ばしたことによるもので、外需に依存した回復だ。外需依存で発展してきた日本の自動車産業の成長戦略を、直ちに転換することは不可能かもしれない。それでも、産業界全体が、成長の軸足を外需から内需に少し戻すことを考えるべき時期ではないか。 かつて、日本の自動車産業は、国内需要の拡大を背景に発展を遂げた。国内市場での厳しい製品開発競争や販売・サービス競争によって鍛えられ、世界に通用する商品を獲得した。しかし、最近は売上高の国内比率が低下。国内市場から世界に通用する製品を鍛えあげるパターンが