国立大学法人評価委員会の答申として、「教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院について」「組織の廃止や社会的要請の高い分野 への転換」が求められたということと、その際に人文学とはどうあるべきかという議論が抜けているということを、過去二回にわたって書いた。 ・国立大学人文社会科学系「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換」という話 ・人文学への「社会的要請」とはどんなものでありうるか? ここでは、もう少し詳細に、(主にデリダの『条件なき大学』といった議論を参照しながら)人文学およびそれをになう大学のあるべき形(とそれが形成されてきた歴史的経緯)と今置かれている危機について議論してみたい。 ・人道、人権と人文学 今回、憲法学者たちの「違憲」判定を軽視する、あるいは揶揄するような発言が政府与党の要人から連発されていることと、文学部に対する政府の否定的態度の間には、共通の根っこがある。