当たり前のことだが、世の中の様々なしくみは「ふつう」の人を基準に作られている。手すりの位置や階段の段差のような物理的なものから税制や社会保障制度のような経済制度まで、目に見えるものから目に見えないものまですべての基準は「ふつう」の人である。その結果、「ふつう」の基準から外れている人には様々な呼称がつけられる。ホームレス、母子家庭、障害者などなど。かれらはグループ分けされ、必要最低限のニーズを行政に決められ、個々のニーズは「ぜいたく」と呼ばれ、社会のお荷物として生きていくことになる。「障害者」から「健常者」へ移ることにも障害(バリア)が設けられている。 たとえばこんな例がある。ある職場に手取り足取り教えられないと仕事ができない人がいた。世の中では知的障害者と呼ばれている人だ。現場の上司がわかりやすくシールを貼ったり、やってはいけないことを繰り返し説明したりしながらようやく仕事を覚えて何とか役