昔、神学学校に通っていた。 そのとき試験にこのような問題が出た。 雨が降らず作物が駄目になり死んだ男がいた。彼は善行を積んでいたので天国に行き、天国の天気はどのようなものであったか。 俺は散々迷った末に"雨"と書いた。 だって、これで晴れだったらあまりに酷いじゃないか。 結果は不正解だった。俺は納得できず、職員室に駆け込むと先生に尋ねた。 すると先生は淡々と答えた。「天国に天気は存在しない」と。 ショックだった。それはまやかしで、単なるおためごかしに思えたのだ。 俺は学校を中退し、普通科に移った。 絶対的に神を信じられなくなったわけじゃない。ただ思春期特有の潔癖さがあったのだと今にして思う。それでも天国の天気は雨であるべきだと、今でも思っている。