エルピーダメモリの坂本幸雄社長が、産業再生法による公的資金の導入を検討すると語っている。半導体産業は昔から国策産業という性格が強いので、このように政府の支援を求めることは珍しくない。しかし坂本氏も知っているように、そうやって政府が補助した企業のほとんどは業界から消えたのだ。 20年前、日本の半導体メーカーが世界を制覇すると思われ、「日米半導体協定」などの保護主義が公然と行われた。存亡の危機に立ったアメリカの半導体メーカーは、日本メーカーに「おとり発注」して「ダンピング」を告発するなど、あらゆる手段を使って政府に支援を求めた。富士通によるフェアチャイルド買収に米議会が反対したとき、ミルトン・フリードマンは「政府の保護は死の接吻だ」という名言を残したが、彼の予告どおり政府の補助金を受けたアメリカの半導体メーカーは、インテルを除いて80年代にほぼ全滅した。同じように政府の保護で生き延びた自動車