遙から 私がまだ社会人になりたての頃、ある劇団に所属していた。努力すれば夢は叶う、と夢を追う若者たちが大勢レッスンやバイトに励みながら演劇を志していた。私もその一人だった。 だが、そう時間を置かずにその体制が見えてきた。小さい劇団だったが、新人の芽を伸ばす、というより、いかにトップダウンで劇団員が動くか、のほうが優先されている権威主義が充満しているように私には感じられた。そこでは私のようなはみ出たパーソナリティはなかなか順応できず、自分がトラブルメーカーになっていることに早々に気づかされた。 たとえば、集合時間が決められると、今度は、女性リーダーが「では、女性のみ10分早めに集合」と言う。私にはその、「女だから10分早め」に納得できず、いちいち反発を覚え、結局、そこに従わず、本来の集合時間に来て、女性先輩のヒンシュクを買ったりしたものだった。権威主義に疑わず順応できる女性劇団員はそこに居場