タグ

ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (91)

  • 新左翼とロスジェネ - 池田信夫 blog

    私のが意外に若者に読まれている背景には、書も指摘するように、いつの時代にも青春に特有の不安や「自分探し」があるのではないか。世間でいうほど絶対的貧困状態に置かれた若者は多くない(フリーターは被扶養者であることが多い)。かつての新左翼も政治運動としてはナンセンスで、全共闘はマルクス主義というよりアナーキズムに近かった。60年安保も、学生のエリート意識による「集団的なストレス発散」だった。 こういう若者の不安をい物にする連中はいつの時代にもいるもので、著者が企画した対談で『蟹工船』ブームを起こした雨宮処凜やモリタクなどの「貧困ビジネス」は、ちょっとした成長産業だ。しかしかつての新左翼や原理などと同様、こういうカルトは何も解決しない。ただ新左翼は日の高度成長の最中にそれを批判する見当違いのお遊びにすぎなかったが、いまロスジェネの直面しているのは日社会の物の病だ。 ところが雨宮・モ

  • 恐慌は日本の大チャンス - 池田信夫 blog

    まず高橋洋一氏のを出版した講談社の判断に敬意を表したい。草磲君は逮捕されても1ヶ月で復帰できるのに、書類送検だけだった高橋氏の著者名まで削除されるのは不公平だ。問題の事件については、彼はこう説明している:ロッカーを使おうと見ると、先客が忘れていったのか、何かが目に止まった。この時点では、徹夜明けで朦朧としていた私は、それが何かを認識する前に、何か忘れ物があると思っただけだった。このときは、マッサージの時間に遅れたくないという気持ちが強く、後で届けようと、その程度に意識していた。ところが、マッサージを受けている間に気持ちよくなり、その後寝込んでしまった。おそらく時計と財布をもったままマッサージを受けたのだろうが、窃盗犯が犯行現場で2時間ものんびりマッサージを受けるとは考えにくい。警察に事情を説明すれば過失ですむ話だったと思うが、警察の「素直に犯行を認めれば外には漏らさない」という誘導に乗っ

  • 共産主義の興亡 - 池田信夫 blog

    社会主義は1990年代に崩壊したと思っている人が多いようだが、書も指摘するように、スターリンの死んだ1953年から崩壊は始まっていた。1960年代後半の新左翼は社会主義国を「スターリン主義」と呼んで敵視しており、1980年代に崩壊したときは、とっくに知的権威を失っていた。むしろ問題は著者もいうように、あんな非効率な国家がなぜ70年以上ももったのかということだ。 共産主義はユートピア思想としては古くからあったが、マルクスの思想は圧倒的に完成度が高く、多くのインテリを魅了した。しかし当の労働者には彼の思想は理解できず、西欧では共産主義運動は失敗した。ロシア革命は、第一次大戦のドサクサにまぎれたクーデタで、レーニンとトロツキーの革命政府は少数派による軍事政権だった。共産主義が貧しい民衆の支持を得たのは、党にすがれば今よりいい生活ができるという救済の約束だった。 この点では、社会主義は「科学

  • 森永卓郎という電波芸者 - 池田信夫 blog

    城繁幸氏のブログ経由で、日経BPの森永卓郎氏のコラムを読んで、コーヒーを吹いた。彼はこう書く:はたして、デンマークのフレクシキュリティは、当に日のモデルとして適当なのだろうか。実は、同じ西欧の国でも、デンマークとは正反対の労働政策を進めている国がある。それは、デンマークとはドイツをはさんだお隣にある国、オランダである。オランダは、デンマークとは異なって解雇に対する規制が極めて厳しい。当ブログでも書いたように、欧州委員会がフレクシキュリティのモデルとしているのはデンマークとオランダである。くわ...

  • 財政赤字への提言 - 池田信夫 blog

    OECDの対日審査報告書が発表された。今年は特に財政赤字についてくわしい分析をしているので、その部分を抜粋しておこう。2010年には,政府の粗債務残高がGDP比200%,純債務残高では100%へと上昇すると見込まれ,財政の持続可能性に深刻な懸念を惹起している.日の長期金利は,公的債務の上昇にも関わらず,驚くほど低位安定してきたが,これは豊富な国内貯蓄,投資の強いホーム・バイアス,そして,魅力的な国内投資機会が限られているという中で金融機関が継続的に国債を購入していることを反映している.今後,こうした低金利を支える条件が弱まっていくと見込まれる. 歳出削減は,財政再建目標を達成するために重要な役割を果たすべきである.2002年から2007年の景気拡大期において,一般政府支出はGDP比で39%から36%に低下したが,2010年には42%に達するものと見込まれる.公共投資は1996年のGDP

  • 花岡信昭氏の「絶滅危惧種的メディア論」 - 池田信夫 blog

    産経新聞の元政治部長だった花岡信昭氏が、日経BPで「記者クラブ制度批判は完全な誤りだ」と主張している。昨今の記者クラブ開放に反対する勇気ある発言、といいたいところだが、その論理があまりにもお粗末で泣けてくる。彼はこう宣言する:日の記者クラブは閉鎖的だという主張は完璧な間違いである。アメリカのホワイトハウスで記者証を取得しようとすると、徹底的に身辺調査が行われ、書いてきた記事を検証され、指紋まで取られる。そのため記者証取得には何カ月もかかる。[・・・]内閣記者会には、日新聞協会加盟の新聞社、通信社、放送会社に所属してさえすれば、簡単に入会できる。これは「閉鎖性」とは何の関係もなく、アメリカセキュリティ・チェックがしっかりしていて、日はいい加減だということである。私がNHKに勤務していたころは、記者証を政治部の記者に借りて首相官邸の中まで入ったこともある。記者証さえあれば武器のチェック

  • フランス革命は正しかったのか - 池田信夫 blog

    総選挙では民主党が「革命的な変化」を強調したのに対して、自民党は保守主義の立場から「継続的変化」を主張した。これは昔から続いている論争で、歴史の教科書ではフランス革命は近代社会を生み出した偉大な出来事とされているが、バークからハイエクに至る保守主義にとっては、それは理性や人権の名のもとに大量殺戮を行ない、ロシア革命に至る「計画主義」の端緒となった大規模テロリズムだということになっている。 経済学者のほとんどは後者の立場だが、Acemoglu et al.はこの通説に挑戦し、数量経済史的な手法でバークが誤っていたと主張する。彼らは当時の人口データを使って、図のようにフランス革命とナポレオン戦争によって占領された地域で都市化(人口の都市集中)が進み、成長率が上がったことを示している。補完的な制度は「ビッグバン」によって一挙に変えないとだめなのだ、と彼らは主張する。フランス革命はすべてを破壊し

  • 景気対策で「身分格差」は直らない - 池田信夫 blog

    井出草平の研究ノートという社会学者のブログに、「ロストジェネレーションは計量的に支持されない」という記事があった。ここで彼が批判しているのは、現在の雇用問題の原因を単なる不況による「就職氷河期」の問題とみる説だ。大卒の求人倍率だけをみると、90年代には1を割ることもあった大卒求人倍率が、2006年には2を超えている。これだけみると「景気さえよくなれば雇用問題は解決する。構造改革なんてナンセンス」という、今は亡きリフレ派の議論が当たっているようにみえる。ところが、非正社員の比率を年齢別に分析すると、次のようになっている: これを受けて井出氏はこう結論する:若年者の正規雇用率が高まっていくのは、1980年くらいから始まる長期トレンドであるが、景気回復によって、この傾向が変化したことはない。変化したのは、大卒ホワイトカラーという恵まれた立場の人間たちの就職率(正規雇用率)が高まった程度である。

  • つきはぎだらけの脳と心 - 池田信夫 blog

    脳が驚異的に複雑で巧妙にできていることは誰でも知っているが、それは脳の性能が高いことを必ずしも意味しない。むしろ脳は進化の過程で行き当たりばったりに複雑化し、古い脳の上に新しい脳がつぎ足されているため、機能が重複して効率が悪いというのが書のテーマだ。進化の初期の段階でつくられたまま、ほとんど使われていない古い機能も常に「オン」になっているので、わずか1.3kgの器官を維持するために人間の摂取するエネルギーの2割が使われている。素子(ニューロン)の性能は半導体の数万分の一以下しかなく、処理速度も正確さもはるかに劣る。 その代わり脳は、100億のニューロンと500兆のシナプスからなる恐るべき超並列コンピュータで、この並列処理によって素子の低性能を補っている。たとえば眼球の機能は不完全なので、情報の入力は不安定だ。次の図はサッカード(視点運動)とよばれる現象の実験で、左側の写真を4分間見ると

  • バフェットの「ケータイ音痴」がリーマンを破綻させた? - 池田信夫 blog

    磯崎さんのツイッター経由で知ったが、「ウォーレン・バフェットがリーマンを破綻させた」という都市伝説は当だったようだ。彼に対するCNBCのインタビューによれば、バークレイズがリーマンを買収するには、同社の保有する「毒入り資産」についての米政府の債務保証が必要だったが、財務省は株主の同意を要求した。バークレイズの首脳は、バフェットが出資を約束すれば財務省を説得できるかもしれないと考えて、土曜(9月13日)の夜8時に彼の携帯に電話したが・・・Buffet: Oh, I got a call. I was in Edmonton at a social event. I was at the hotel at about 6:00 or so Edmonton time. [...] They described the transaction to me that I really could

  • 自民党が参院選に勝つ唯一の道 - 池田信夫 blog

    自民党の総裁選がおもしろい。特に河野太郎氏は、森喜朗氏や町村信孝氏が彼の推薦人集めを妨害したことを実名で暴露し、「派閥の親分でありながら、小選挙区で当選されず比例代表で上がった[町村氏のような]方は、比例の議席を次の順番の若い世代に譲って頂きたい」と発言した。谷垣禎一氏の「全員野球」という方針については、「全員野球には私は反対です。あしき体質を引きずっている人はベンチに入れるべきではない」と、青木幹雄氏も名指しで批判した。 小泉改革の評価については、他の2人が曖昧な態度に終始したのに対して、河野氏は「方向性として官から民へ、中央から地方へという動きは正しかった」と小泉政権の構造改革路線を肯定的に評価し、「小さな政府」路線を明確に打ち出した。 きわめつけは、総裁選に敗れた場合の身の処し方として「自民党が再生できなかったら、みんなの党と一緒にやるかは別にして、何らかのことを考えることはあり

  • 「記者クラブの壁」の崩壊 - 池田信夫 blog

    きのう日のツイッターで最大のアクセスを集めたのは、「岡田外相 全メディアに記者会見を原則開放」というスポニチの記事を伝えた私のメッセージだった。その後、この記事を毎日、産経、共同、時事が追いかけたが、今に至るも朝日・読売・日経はまったく伝えていない。 昔ならこの3紙が情報カルテルを組めば、発生した事件もなかったことにできたかもしれない。しかし今では、グーグルで上の記事を検索しただけで2160件も出てくる。かつて国境を越えた電波が東欧の民主化を進めてベルリンの壁を壊したように、今やウェブは記者クラブの壁を壊したのである。

  • 希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 - 池田信夫 blog

    次のが、ようやく来月上旬にダイヤモンド社から出ることになった。タイトルは、当ブログで過去最高のアクセスを集めた記事からとったが、別に絶望をすすめるではなく、政権交代後の日経済と経済政策を考えるものだ。まえがきから一部引用すると、長期停滞についての処方箋を書くのは経済学者の仕事だが、日では政策論争に経済学者がほとんど登場しない。経済学者は学術論文を書くのが分で、ジャーナリスティックな仕事は「エコノミスト」にまかせておけばよいと思っているのかもしれないが、経済学はもともと「経世済民」のための実用的な学問であり、純粋理論に意味はない。ジョン・メイナード・ケインズは経済学者を歯科医のようものだと考えていた。 ただ経済学者は歯科医と違って、自分の力で経済問題を直すことはできない。それはむしろ自動車の運転技術のようなもので、多くの人々がそれを理解しないと意味がないのだ。ドライバーが自動車の

  • 亀井金融・郵政相という「爆弾」 - 池田信夫 blog

    国民新党代表の亀井静香氏が、金融・郵政担当相に内定した。取り沙汰されていた防衛相をはずされたのは、訪米したとき暴言を吐いたのが原因といわれるが、こっちのポストも大問題になるだろう。亀井氏は閣僚になる前から、さっそく中小企業に「徳政令」の発令を宣言し、日郵政の西川社長の解任を要求するなど暴れている。 20年前、仕手戦で有名だった「コスモポリタン」の池田保次社長が「失踪」した事件で、亀井氏は重要参考人だった。池田は山口組の企業舎弟で、株の暴落で組からの借金が返せなくなって殺されたとみられている。当時の読売新聞(1989/10/6)は、こう書いている:破産した仕手集団「コスモポリタン」(社・大阪)グループと亀井静香・自民党代議士の株取引をめぐる疑惑で、同グループが昭和62年8月、東証一部上場の環境設備メーカー「タクマ」(社・大阪)の約60万株についても、当時の株価より約4億円も高い総額1

  • ツイッターはなぜノイズが少ないか - 池田信夫 blog

    ゲーム理論にメカニズムデザインという分野がある。これ自体は非常に数学的に高度なので、一般の読者にはおすすめできないが、基的な考え方は福祉経済学を拡張した規範的ゲーム理論だ。普通のゲーム理論は、あるゲームのルール(利得行列)のもとで人々が合理的に行動するとどうなるかという結果を予想するが、メカニズムデザインでは逆に、望ましい結果を実現するゲームのルールはどのようなものかを考える。 最近、2週間ほどツイッターを使ってみて、意外にノイズが少ないことに気づいた。直感的には、断片的な「つぶやき」を全世界に発信できるとノイズだらけになりそうなので、私もアカウントをとったまま休眠状態だった。しかし先週のネットラジオで聴取者の反応を募集するために使ったら、意外にちゃんとした意見が集まった。これについて先週のASCII.jpで書いたら、いろんな反応がきた。 Dankogaiは「たとえ@celeb 三国

  • 地デジ補助金の「おかわり」900億円 - 池田信夫 blog

    政権交代のドサクサにまぎれて、総務省は地デジに補助金900億円を投入する概算要求を出した。その内訳は、「受信機器購入等の支援」に338億円などとなっているが、こういう補助金は何を根拠に出すのだろうか。NTTドコモの第2世代携帯電話は2012年にサービスを終了するが、その端末をもつ利用者にも第3世代の「受信機器購入等の支援」は行なわれるのだろうか。 もともと電波法では、周波数は免許人に貸与されているもので、それを取り上げるのも移行させるのも行政の裁量であり、周波数の移行に際していっさい補償は行なわないのが原則である。携帯電話も含めて、すべての免許人は自己負担で周波数の移行措置をとってきた。ところがテレビ局だけは、アナアナ変換の1800億円をはじめ、「デジタルデバイド」や「エコポイント」などの名目で数千億円の補助金を得てきた。おまけに、また補助金の「おかわり」をしようというのだろうか。 こ

  • 傲慢な援助 - 池田信夫 blog

    "The White Man's Burden"の邦訳。開発経済学というのは、かつてはマイナーな学問だったが、最近は注目を集めている。マクロ経済学の関心が短期的な景気循環から長期的な成長理論に移り、先進国でも「成長戦略」が重要な問題になってきたからだ。他方、途上国は賢明な政府が指導すればいいという昔ながらの開発経済学も役に立たないことが判明し、両者の問題はかなり共通していることがわかってきた。 先進国にも途上国にもいえるのは、著者も指摘するように、政府の温情主義は有害無益だということである。経...

  • 霞ヶ関維新 - 池田信夫 blog

    民主党政権の最大の課題は、官僚機構との闘いである。さっそく概算要求をめぐって財務省との鞘当てが始まっているが、こういうとき厄介なのは、官僚機構の匿名性だ。誰も個人として責任をとらないで結束して組織防衛に全力を傾け、面従腹背で「よそもの」である政治家を情報的に孤立させてコントロールするのが彼らの常套手段である。この点、書の著者である若手官僚は、実名で改革を提言している。霞ヶ関も、少しは変わりつつあるようだ。 しかしその改革の内容は、残念ながらよくも悪くも官僚的だ。最初に日の「国力低下」を指摘して、それを建て直す「国家戦略」の必要を説き、その戦略を実現する官邸中心の「組織再編」を提言する構成は、審議会に提出される「事務方」の資料とよく似ている。15人の著者の共著であるため、一通り問題点は整理されているがメリハリがなく、としてはつまらない(所属官庁への遠慮もあるのだろうが)。 最大の問

  • 霞ヶ関というITゼネコン - 池田信夫 blog

    民主党の圧勝は、予想以上に大きな変化をもたらすかもしれない。ここまで大差になれば、参議院のねじれも自民党からの鞍替えや公明党の「中立化」によって解決でき、実質的に民主党単独政権になる可能性がある。そうなれば、小沢一郎氏の悲願だった「強い与党」として、思い切った改革もできよう。特に重要なのは、民主党がマニフェストにかかげた「官僚主導の政治の打破」である。 その試金石は、すぐやってくる。来年度予算の編成だ。例年なら、きょう概算要求が出そろって省庁間の話し合いも7割ぐらいついているが、今年は民主党が「国家戦略局」によってゼロベースで見直すとしているので、各省庁とも骨格しか出していない。新組織は「戦略室」として発足を急ぐそうだが、スタッフの人事が完了するには、どう急いでも1ヶ月はかかる。正味3ヶ月で一般会計+特別会計の200兆円をゼロから見直すのは、現実には無理だろう。細川政権のときも、政権が成

  • Shadow Shogun - 池田信夫 blog

    選挙報道では、日のメディアより海外メディアのほうがはるかに的確なコメントをしていた。彼らが注目しているのは、もう明白な選挙の結果よりその後の人事だ。特に100人以上の「小沢チルドレン」が当選して、かつての田中派のような「党中党」になりそうな小沢グループの動向が焦点だ。1993年の細川政権のときの小沢一郎氏の政策は高く評価されているが、彼が幹事長になると「二重権力」になって政策決定が不透明になるので重要閣僚として処遇すべきだ、とForeign Policyはアドバイスしている。 私は宮沢政権末期に、田中派の事務総長だった小沢氏にインタビューしたことがあるが、そのころの彼は輝いていた。その後の16年間、不幸なことに彼を超える政治家はあらわれなかった。今の民主党のバラマキ福祉路線は、彼の音ではないだろう。あのときの理想に立ち返り、全部リセットしてはどうだろうか。どうせ誰もあのマニフェストが