グリム童話に「小人の靴屋」という話がある。 まじめな靴屋がいたが貧しく、靴を作る材料は一足分しかない。靴屋は翌日にすぐ靴を作れるよう、材料を準備してから休むことにした。 翌朝起きてみると、きれいな靴が出来上がっていた。それが売れて、より多くの材料が買え、靴を多く作れるようになった。これが毎晩続き、売れる靴も増えていった。「誰が作っているのか」と靴屋が深夜、様子を伺うと、小人が靴を作っていたという話だ。 記者は、ITを活用して働き方改革を進めている企業を取材している。そのなかで、業種も取り組み内容も違う2社の取材で、このグリム童話の同じ話が出てきて驚いた。業務を進める現場担当者にとって、活用するITが仕事を助けてくれる小人のような存在だというのだ。 その1社が資生堂だ。活用しているITは、社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。社員同士でコミュニケーションを取りやすくして円滑に