Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] 5歳の頃。 姉たちが小学校に行った後、母と二人だけで過ごす朝のささやかな楽しみは、朝ドラだった。 当時放送していたのは『ええにょぼ』という女医さんの物語。母は薬剤師なので、ドラマの状況を解説してくれて、なんとなぁく理解していた気がする。 家族揃っての夕食時は、もっぱら野球だ。流行りのドラマを観たい姉と、野球一択の父は、毎晩のようにチャンネル戦争を繰り広げていた。勝つのはまぁ、だいたい父。選手の名前を、私たち三姉妹にしつこく教えてきたものだ。 さほど興味がないものでも、無意識のうちに視界に入ってきては、自分の知識に変わっていく。 家族と過ごすって、そんな感じだった。 でも、私が大学生になった頃から、家族でチャンネル争いをする日常はなくなっていった。 それぞれが自分の端末で、好きなコンテンツを、好きな時間に、好きなだけ楽しめる。そういう時代にな