話題の本。面白いとは思います。そして著者の煽りを煽りをきちんと受け止めてスルーした上で第10章をきちんと読み込むことが出来るならば、世間で通用している日本史とは別の日本史の読み方を提示した本として有益な面もあるかもしれない。 が、同時に歴史学という学問のいい加減さを露呈させている本でもあり、史学科の日本史学専攻出身の人間としては非常に複雑な気持ちで読みました。 本書の内容は「中国化」と「(再)江戸時代化」というキーワードで平安後期から現代に至る日本史を斬るというものです。 10世紀に中国では宋が誕生します。東洋史家の内藤湖南はこの宋の成立をもって「近世」が成立したと述べていますが、それほどこの宋の制度というのは画期的なものでした。 この宋の画期性を著者は内藤湖南の言葉を借りて次のように整理しています(31p) 1、貴族制度を全廃して皇帝独裁政治を始めたこと 2、経済や社会の制度を徹底的に自