報道の自由か、名誉毀損(きそん)か――。朴槿恵(パククネ)大統領にまつわる「うわさ」を載せた産経新聞ウェブサイトの記事をめぐる裁判で、韓国の裁判所は無罪を言い渡した。判決直前、韓国外交省は裁判所に異例の「配慮」を求めた。停滞する日韓の外交交渉に弾みはつくのか。 ざわつく法廷 ソウル中央地裁の傍聴席は100人を超える報道関係者らで埋め尽くされた。韓国の法曹界の大方の見方は「有罪」だった。 午後2時前、裁判長と裁判官2人が法廷に入った。裁判長は判決の言い渡しを始める前に、外交省から検察側を通じて、裁判所に提出された文書を読み上げた。行政府である外交当局が司法府である裁判所に要請をするのは極めて異例だ。傍聴席がざわついた。 加藤達也前ソウル支局長は立ったまま判決の読み上げを聞き続けた。記事で書いた「うわさ」が虚偽で、それを加藤氏も認識していた。裁判長は争点にそって一つひとつ判断を示していく。加藤