[Part1] 問われる「法制局頼み」 あるべき役割分担は 山口進 特集本編01で見た菅直人の思想の理論的支柱は、政治学者の松下圭一だ。いま80歳。1960年代以来、公害をはじめとした都市問題への対応などをめぐり、全国各地で起きた自治体の先進的なルールづくりに大きな影響を与えた。菅は「『松下理論を現実の政治の場で実践する』ことが、私の基本スタンスだった」と著書『大臣』で述べ、今月11日の所信表明演説でも「原点は、松下先生に学んだ『市民自治の思想』であります」と言及した。 松下は、「官僚立法」から「市民立法」「国会立法」への転換を説く。つまり、どんな問題があるか、市民が発見し、ルールをつくっていく、法の淵源(えんげん)は市民だ、という考え方だ。官僚が自分たちしか知らない「秘儀」として法律をつくり、国会に同意させ、そのまま執行する、その要に内閣法制局がいる、というあり方を逆さまにすべきだ、とい