ブログマガジンに書いた学問的な常識だが、いまだに安倍首相を「ファシスト」とか「翼賛体制」とか呼ぶ人々がいるので、再録しておく。日本を戦争に引きずり込んだのはファシストではなく、大政翼賛会でもない。 ファシズムはムッソリーニの始めた運動の名称で、ヒトラーのナチズムもこの名で総称することは国際的に定着している。これはカリスマ的な指導者が右翼的イデオロギーで民衆を動員する政治運動で、彼らが政権を取って国家を指導したのが特徴である。 日本にも右翼やファシストはいたが、彼らは政権をとることはできなかった。丸山眞男も1947年の「日本ファシズムの思想と運動」(岩波文庫所収)という論文で、「日本ファシズム」をヒトラーやムッソリーニの指導する民衆による下からのファシズムとは区別し、戦争をもたらしたのは軍部や官僚機構だったと論じた。 日本を戦争に導いた思想をファシズムと呼ぶとすれば、そういう思想は北一輝や大
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