原爆の被害と戦争の加害の両面を見すえた原爆詩人の作品が再評価されている。11年前に亡くなった広島の栗原貞子。英語やフランス語などに続き、韓国で今年、詩集が翻訳出版された。オバマ米大統領の広島訪問とも重なり、国境を超えた和解の祈りが注目されている。 栗原の代表作の一つにあげられる詩集「ヒロシマというとき」は、1976年の発表から40年が過ぎた今年1月、韓国で翻訳版が出版された。表題作は、原爆に対して、ハワイの真珠湾攻撃や中国での南京事件など日本軍による加害の歴史を挙げ、和解のためには、「わたしたちの汚れた手を/きよめねばならない」と、自らに問いかける。 訳者で、日本文学を研究する李英和(イヨンファ)・城西国際大助教は、2013年の栗原の生誕100年を祝って発行された記念誌で、この作品に出会った。韓国にとって、日本は植民地支配の加害者であり、歴史問題はいまなお日韓関係のトゲのような存在だ。だが