瑞々しくも愛おしい記録 さかなを初めて聴いた時の事はよく覚えている。当時ルーム・シェアをしていた友人が部屋でかけたそれは、一瞬にして僕の耳を奪った。 「ねえ、今聴いてるのって何?」 「これ? さかなっていうんだよ。これは『リトルスワロウ』っていうアルバム。いいでしょ。気に入った?」 なんて大きな歌なんだろう。身も心もとろけるような音楽とはまさにこれだと思った。それ以来僕は彼らの音楽の虜になったままだ。何とも抽象的な言い回しになって申し訳ないのだが、どうしても彼らの音楽を他のポップスと同じような語り口で表現する事が出来ない。それを聴くと、一瞬だけれど他が色褪せて見えてしまうような音楽が、片手で数えられる程だが僕にはある。さかなの音楽はそのうちのひとつなのだ。 そんなさかなの活動初期の作品4枚がひとつのパッケージとしてまとめられ、再リリースされる事になった。今改めて聴くと、彼らが当時どれだけ音