かつてディー・ライト(Deee-Lite)は自身のデビューアルバム収録曲にて「グルーヴは心の中にある (groove is in the heart)」と歌ったが、それ以前に、グルーヴは聴く者の腹の底に響くものだ。これは、どんな音楽を聴いている場合にも。たとえそれがレゲエだったとしても、メキシコのランチェラだったとしても当てはまる。リズムがなければ、それは中身のない音楽も同然である。 しかし、たちまちにして新たな音楽ジャンルを創始してしまった一連の革新的なグルーヴは、いったいどのように生まれたのだろうか? 特徴的なビートを中心とした独自のジャンルが突如として誕生する ―― そんな手品のような出来事が、音楽の歴史の中で幾度も繰り返されてきたのである。 一方で、しかしその新しい音楽が流行すればするほど、騒動の中でその起源が忘れ去られてしまうことも多くなる。ここでは、まったく新しい音楽の世界を切