タグ

ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (70)

  • 川村記念美術館休館か - mmpoloの日記

    DICは27日、保有・運営するDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)の運営を見直すと発表した。東京に移転するか運営を中止するかを検討する。年内に結論を出し、2025年1月下旬に休館する。資産効率の観点から運営方法の見直しが必要だと判断した。(日経済新聞、2024年8月27日) DIC(旧大日インキ)は佐倉市にある研究所の一角に川村記念美術館を所有している。30年ほど前、この美術館の学芸員と話したことがあった。美術館は財団法人のような会社の別組織ではなく、大日インキの一部門なのだという。なぜかと問うと、会社が不景気で困ったときに所蔵品を売却するためですと言われた。 2013年に川村記念美術館が、所蔵するバーネット・ニューマンの「アンナの光」を海外に103億円で売却したと発表した時、このことを思い出した。大日インキの初代社長が日の古美術を集め、その息子の2代目社長がヨーロッパの名品を収

    川村記念美術館休館か - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2024/08/30
  • ファーガス・マカフリーのアンゼルム・キーファー展を見る - mmpoloの日記

    東京表参道のファーガス・マカフリーでアンゼルム・キーファー展が開かれている(7月13日まで)。キーファーはドイツを代表する現代美術家。1993年のセゾン美術館での個展は圧倒的だった。以来私にとってキーファーこそ世界最高の美術家となっている。 今回ギャラリーでは豪華な図録を販売している。それを参考に何点か紹介する。 「罌粟と記憶―パウル・ツェランのために」 ツェランは『罌粟と記憶』という詩集、特にその中の「死のフーガ」でナチスと虐殺されたユダヤ人について書いている。 「バミューダ・トライアングル」 フロリダ半島先端の海域、「魔の三角海域」とも呼ばれている。古くからこの地域の未解決事件が語り継がれてきた。スピルバーグの映画『未知との遭遇』ではバミューダ・トライアングルで5機の飛行機が消えている。 「ヨハネ:光は闇の中に輝いている。闇は光を理解しなかった」 このタイトルは形而上学化した新古典主義

    ファーガス・マカフリーのアンゼルム・キーファー展を見る - mmpoloの日記
  • ウィリアム モリスの尾田美樹版画展を見る - mmpoloの日記

    東京渋谷のウィリアム モリスで尾田美樹版画展「線の練習」が開かれている(7月30日まで)。尾田美樹は1971年神奈川県生まれ、1998年創形美術学校研究科版画課程修了、2001年日版画協会展山口源新人賞受賞。青樺画廊や養清堂画廊などで個展を行ってきた。ここウィリアム モリスでは2011年、2017年に個展を行っていて、今回は7年ぶりになる。 (DMの作品) DM葉書を見てとても良いので見逃せないと足を運んだ。銅版画だが極めて繊細な表現で素晴らしい。その良さが写真に表しづらいのが残念だ。 会場のウィリアム モリスはギャラリー&珈琲と称しているカフェで、美味しいコーヒーを誇っているようだ。渋谷の駅と表参道駅の中間くらいか。 ・ 尾田美樹版画展「線の練習」 2024年7月2日(月)―7月30日(火) 12:30-18:30(最終日17:00まで)日・月・第3土曜日休み ・ ウィリアム モリス

    ウィリアム モリスの尾田美樹版画展を見る - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2024/07/10
  • ギャラリーなつかの平野瞳展を見る - mmpoloの日記

    東京京橋のギャラリーなつかで平野瞳展「反射光」が開かれている(7月13日まで)。平野瞳は1994年石川県生まれ、2022年に武蔵野美術大学通信教育課程油絵学科版画コースを卒業している。グループ展には何度も参加しているが個展は初めてとなる。 作家の言葉、 ある片隅に訪れた光と、その静かな熱と動きが生み出す無数の反射光たちを、つたないエッチング線を使い拾い集め、わずかでも版の上に留めたいと思っています。 永い温度と確かな痕跡を、いつか一枚の紙に刷り上げることができたらと願っています。 平野瞳のユニークな点は取り上げたテーマだ。作家たちはしばしば特権的な瞬間を作品のテーマに選ぶ。美しい風景、特異な風景、事件などや魅力的な人物等々。平野が取り上げたのは日常的なひとコマ、風に揺れるレースのカーテンを透かして見える裏庭、卓のべ終わった皿とスプーン、器棚の一角、水が張られていない浴槽、若い娘のうし

    ギャラリーなつかの平野瞳展を見る - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2024/07/10
  • 片山杜秀『歴史は予言する』を読む - mmpoloの日記

    片山杜秀『歴史は予言する』(新潮新書)を読む。『週刊新潮』に連載したコラム「夏裘冬扇」の書籍化。片山杜秀は近代日政治思想史家でクラシック音楽の評論家。週刊誌の軽いコラムと思って読み始めたらとんでもなく重い充実したエッセイだった。名コラムだと言って良い。どれもたったの3ページ、だから86篇も並んでいる。 平成天皇の退位に対して。 明治の大日帝国憲法は岩倉具視と伊藤博文のアイデアの結晶だった。 (……)「男は黙って御名御璽」。岩倉も伊藤も安心できる落としどころであった。 大日帝国憲法は、表向きには天皇に大権を集中する。だが解釈と運用で、天皇人をなるたけ黙らせておく。維新政府の戦略であった。でも、なお心配が残る。たとえば天皇が、裁量できることの少なさに退屈して退位を望み、世間が、現政権への天皇自身の不満がそこに込められていると信じたとする。明治国家はたちまち正統性を疑われる。 また、退く

    片山杜秀『歴史は予言する』を読む - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2023/12/30
  • 山本弘の作品解説(112)「ネハン(臨終)」 - mmpoloの日記

    弘「ネハン(臨終)」、油彩、F10号(天地45.5cm×左右53.0cm) 1978年制作、最晩年の作品。山はこの3年後に自死した。キャンバスの裏に山の手で「ネハン」と書かれ、その年に開かれた個展では「臨終」と題されて発表された。ネハン=涅槃は釈迦が高い悟りの境地に達して亡くなったこと。それを臨終と言い換えていることは、山自身の臨終を涅槃だと言っているに等しい。すなわち自身の死を極めてポジティブに捉えている。自身の死を決してネガティブに考えてはいないということだろう。 事実、横たわった、命がまさに尽きようとしている人が美しい空色で描かれている。その死は高い悟りの境地に通じているのだ。 山はこの絵を制作した3年後に自ら命を絶っている。亡くなる3年前から死を否定的に捉えていなかったことが分かるのではないか。死というテーマとは裏腹に美しい作品となっている。

    山本弘の作品解説(112)「ネハン(臨終)」 - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2023/02/24
  • 岡崎乾二郎『絵画の素』を読む - mmpoloの日記

    岡崎乾二郎『絵画の素』(岩波書店)を読む。500ページ近く厚さ4cmほどもある大著でオールカラーという豪華版。だから5,000円+税と高価だ。 古今東西の名画を取り上げてその作品を解説し、それにまつわるトピックを紹介している。そしてその作品に関連したタイトルを付けた岡崎自身の抽象画を貼付している。 これは何かと言えば、岡崎が昨年プラム&ポーで発表した作品などの歌を示したものだった。あの個展に並べられた抽象的な小品は、色彩と筆触で作られた抽象作品と思っていたが、実は有名な古典絵画に触発されて描かれたものだった。つまり岡崎の抽象的小品は有名絵画の歌取りだったのだ。これには驚いた。 例えば、上に紹介した作品に相当する歌たる古典絵画は書には該当するものがなかったが、ただ抽象的に描いたものではなく、何らかの古典絵画から触発されていたのだろうと推測できる。 岡崎は現代美術作家であり、また評価の

    岡崎乾二郎『絵画の素』を読む - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2023/02/13
  • 資生堂ギャラリーの岡ともみ展を見る - mmpoloの日記

    東京銀座の資生堂ギャラリーで岡ともみ展「サカサゴト」が開かれている(2月26日まで)。展は資生堂が主催する公募プログラム「第16回shiseido art egg」入選者3名による個展の一人目。3人の個展が終ったあと、一人にグランプリが与えられる。 岡は1992年東京都生まれ、2022年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了、現在同科博士後期課程在学中。 資生堂ギャラリーのホームページから、 岡ともみは、個人の大切な思い出や消えかかっている風習など、見過ごされがちな小さな物語を封入した装置を作り、記憶を空間に立ち上げることを試みています。展覧会では、自身の祖父の葬儀での経験から、死者が出た際に日常の様々な動作を逆に行う「サカサゴト」という風習に着目しました。インスタレーションを通じて、日各地に残る風習を紐解き、形骸化しつつある葬送の形や死との向き合い方について再考

    資生堂ギャラリーの岡ともみ展を見る - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2023/02/10
  • 布施英利『現代アートはすごい』を読む - mmpoloの日記

    布施英利『現代アートはすごい』(ポプラ新書)を読む。副題が「デュシャンから最果タヒまで」というもの。実際は現代アート入門書といったところか。初心者に対してはよくできている。 デュシャンの便器の作品「泉」について。小学校の図工の授業で先生が「家にあるものを何でもいいから持ってきて、それでアートを作りましょう」と言ったとき、便器を抱えて持ってくる子供がいたら、先生は叱るかもしれないが、子供たちにはウケる。デュシャンの「泉」はそういう作品だ、という。 またデュシャンの「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」(別名大ガラス)について、これは花嫁と独身者(御男たち)を描いたものだ、これは二次元の花嫁だという。 こんな調子で難解な現代美術(アート)をやさしく噛み砕いて解説していく。ポロックのドリッピング絵画は、誰でも作れそうだが、絵具の濃さ・薄さ、硬さ、手のスピードなどで線の途切れ具合、雫の

    布施英利『現代アートはすごい』を読む - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2022/12/04
  • 鮎川信夫 他『現代詩との出合い』を読む - mmpoloの日記

    鮎川信夫 他『現代詩との出合い』(思潮社 詩の森文庫)を読む。副題が「わが名詩選」とあり、7人の詩人が選んだアンソロジーになっている。鮎川の他には、田村隆一、黒田三郎、中桐雅夫、菅原克己、吉野弘、山太郎が選んでいる。 鮎川は萩原朔太郎、西脇順三郎、森川義信を選んでいる。森川は、鮎川が「死んだ男」で「M」と呼びかけた友人だろう。鮎川信夫「死んだ男」の最終章を引く。 埋葬の日は、言葉もなく 立合う者もなかった、 憤激も、悲哀も、不平の柔弱な椅子もなかった。 空にむかって眼をあげ きみはただ重たいのなかに足をつっこんで静かに横たわったのだ。 「さよなら、太陽も海も信ずるに足りない」 Mよ、地下に眠るMよ、 きみの胸の傷口は今でもまだ痛むか。 田村隆一は、中桐雅夫の詩と、アンソロジー「荒地」の序文「Xへの献辞」を挙げている。黒田三郎の挙げたのは、金子光晴、安西冬衛、三好達治、丸山薫にボードレー

    鮎川信夫 他『現代詩との出合い』を読む - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2022/01/21
  • 毎日新聞の「今年の3冊」から - mmpoloの日記

    年末恒例の毎日新聞「今年の3冊」が発表された(12月11日と18日)。これは毎日新聞の書評執筆者36人が今年刊行された書籍から各3冊を挙げている。その中から気になったものを拾ってみた。 村上一郎推選 『ヒトラー 虚像の独裁者』芝健介著(岩波新書) 書は、新書だが内容は深く重い。ヒトラーの評価は、現代ドイツでは無条件に「悪」というのが、私たちの常識だが、ことは一筋縄でいかないらしい。博捜の資料を駆使してその筋を解きほぐす著者の手腕は見事。今でも教えられることが多い。 ヒトラー: 虚像の独裁者 (岩波新書 新赤版 1895) 作者:芝 健介 岩波書店 Amazon 橋爪大三郎推薦 『ニュー・アソシエーショニスト宣言』柄谷行人著(作品社) 書は、柄谷行人氏のビジョン。傑出した思想家の氏は、自分が定めた近代の足場からすっくと論理を伸ばし、可能な未来を描いてみせる。将棋流に言えば、われわれの歩む

    毎日新聞の「今年の3冊」から - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2021/12/22
  • 10年前の安齊重男展「絵画試行」について - mmpoloの日記

    DMハガキ 今から10年前の2011年に東京銀座のギャラリー現で安齊重男展「絵画試行」が開かれた。安齊は、「現代美術の伴走者」を自称し、国内外の現代美術の現場を写真によって記録してきた(wikipediaより)。2007年には、国立新美術館で大規模な「安齊重男の "私・写・録(パーソナル フォト アーカイブス)"1970-2006」が開催された。現代美術の記録写真家として第一人者で、もの派を始めインスタレーションなど貴重な現場の記録を残している。多摩美術大学で教えていたが、昨年81歳で亡くなった。 現代美術の記録者であったが、10年前にギャラリー現で個展を開いている。「絵画試行」と題されていたが、副題が「NEW YORK 1978-1979 ANZAI」だった。その作品について、同展のちらしより、 今回ギャラリー現で展示するカラー・プリントは1978年から1979年(……)ニューヨークのマ

    10年前の安齊重男展「絵画試行」について - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2021/05/13
  • ジョン・ル・カレが亡くなった! - mmpoloの日記

    イギリスのスパイ小説作家ジョン・ル・カレが12月12日夜、亡くなった。89歳だった。ル・カレは『寒い国から帰ったスパイ』で大成功を収め、その後、のちにスマイリー3部作と呼ばれる連作『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』でその地位を不朽のものとした。その後のル・カレは傑作が多いが、私が1点付け加えれば『パーフェクトスパイ』になる。 私が最も愛する作家はル・カレとSF作家のスタニスワフ・レムだ。一般にル・カレはスパイ作家、レムはSF作家として、純文学作家たちの格下に置かれている。二人に直接共通するのは娯楽小説とか大衆小説とか分類されることだろう。二人の小説はとても面白い。しかし、二人とも大衆には決して好まれない。ル・カレの作品は登場人物が多く、その多数の登場人物の個性が見事に書き分けられている。簡単には読み通せないだろう。そして単なるスパイ小

    ジョン・ル・カレが亡くなった! - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2020/12/19
  • 27年前の戦後日本美術ベストテンを見直す - mmpoloの日記

    久しぶりに『芸術新潮』1993年2月号を書棚から取り出した。30人の美術評論家が選んだ戦後美術のベストテンが特集されている。1993年、平成5年、戦後48年。この年は現天皇の当時皇太子が結婚した。細川護熙・非自民8党派連立内閣成立、田中角栄元首相が亡くなった。そのベストテンを見てみる。 1. 河原温 2. 斎藤義重 3. 草間弥生・白髪一雄・リーウーファン 6. 荒川修作・関根伸夫・三木富雄 9. 岡太郎・鶴岡政男 11. 川俣正・山田正亮・若林奮 14. 赤瀬川原平・戸谷成雄・中西夏之・山口長男・山下菊二 19. 靉嘔・工藤哲巳・菅木志雄・高松次郎・堀内正和・八木一夫・横尾忠則 26. 今井俊満・宇佐美圭司・榎倉康二・環境造形Q・菊畑茂久馬・堂尚郎・ハイレッドセンター・彦坂尚嘉・土方巽・堀浩哉・村岡三郎・吉原治良 以上1位から37位まで。これは30人の評論家たちから3票以上集めた作家

    27年前の戦後日本美術ベストテンを見直す - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2020/03/22
  • 美術評論家3人が亡くなった - mmpoloの日記

    6月からふた月ばかりの間に3人の美術評論家が亡くなった。6月2日にワシオ・トシヒコさん(75歳)が、6月3日に江邦夫さん(70歳)が、そして8月5日に名古屋覚さん(51歳)が亡くなった。ワシオさんと江さんが心筋梗塞、名古屋さんは自分ですい臓がんだと『ギャラリー』7月号のコラムに書いていた。 ワシオさんは美術評論家で詩人だった。わが師山弘について公明新聞と雑誌『Bien 美庵』に紹介してくれた。『ワシオ・トシヒコ詩集』(土曜美術社出版販売)が発行されたとき、青華画廊で展示即売会が開かれた。出版の条件が発行部数の半分を著者が購入するというものだった。それで即売会を開いたので私も購入した。そこから「考える人」を、 歩く 見る 座る 歩く 見る 座る 歩く 見る 座る 歩くうちに 歩く理由が彼方へと消える 見るうちに 見たいものが見えなくなる そこで地べたに どっこいしょと座る 夕闇が迫る

    美術評論家3人が亡くなった - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2019/08/10
  • 吉増剛造『我が詩的自伝』を読む - mmpoloの日記

    吉増剛造『我が詩的自伝』(講談社現代新書)を読む。詩人吉増剛造が編集者相手に語った自伝を書き起こしたもの。とは言っても話し言葉は重複があるから、起こした原稿を相当編集はされているのだろう。ただ基は語った言葉を原稿にしているような体裁を採っている。 現代詩人吉増剛造。私の棚を探せば「現代詩文庫」の『吉増剛造詩集』があった。45年前、日産自動車のプレス工をしていたときに、相武台前の屋で買ったものだ。相武台前は小田急線の小さな駅で、当時はそんな小さな町の小さな屋にも「現代詩文庫」が並んでいたのだ。隔世の感がある。 でも好きな詩人ではなかった。その詩集に傍線を引いた部分が1か所だけあった。 海から帰って ぼくは日記に書いた 花 ハイミナール ハイミナールとは当時もっとも普通に使われていた睡眠薬。わりあい簡単に入手できたように思う。みな睡眠のためではなく、酔うために(ラリるために)使っていた

    hyougen
    hyougen 2016/05/15
  • ギャルリ・プスの大坪美穂展−−沈黙の庭−−を見る - mmpoloの日記

    東京銀座のギャルリ・プスで大坪美穂展−−沈黙の庭−−が開かれている(5月14日まで)。大坪は1968年に武蔵野美術大学油絵科を卒業している。今まで銀座のシロタ画廊やギャルリ・プスなど各地で個展を開いていて、韓国やインドのグループ展にも参加している。昨年はストライプハウスギャラリーで大きな個展を開いている。 今回は天井から何百もの糸を垂らしている。糸はよく見ると印刷物をこよりにして作ったものだ。具体的には新聞紙だという。無数の糸といえば思い出す展示があった。 ひとつは15年ほど前にコバヤシ画廊で、またその数年前にギャラリーセンターポイントで見た川村直子の作品だ。川村はテグスを縦横に碁盤の目のように等間隔に張ってさらにそれを縦に何十層にも重ね合わせ、それらを縦糸ですべて結ぶ。その交差しているところに玉を付けている。糸が作る立方体がずっと向こうまで続いている。奥行きが途方もなく深く感じられてほ

    ギャルリ・プスの大坪美穂展−−沈黙の庭−−を見る - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2016/05/14
  • 『マーラーを語る』が面白かった - mmpoloの日記

    ヴォルフガング・シャウフラー 編『マーラーを語る』(音楽之友社)が期待以上に面白かった。副題が「名指揮者29人へのインタビュー」で、この副題が書を十全に語っている。指揮者はアルファベット順に並んでいる。アバド、バレンボイム、ブーレーズ、ハイティンク、ヤンソンス、マゼール、メータ、ラトル、サロネン等々、まさに錚々たるメンバーだ。一人約10ページが充てられている。きわめて贅沢な企画だ。マーラーに対して様々な意見が述べられ、正反対の評価も散見する。 クラウディオ・アバド。 ――20世紀の破滅的な大惨事(カタストロフ)がなければ、マーラーが真に理解されることはなかった。バーンスタインはそう言いましたが、納得ですか? アバド  そう思います。マーラーは感性が鋭く、何かが起こると感じていました。でもアルバン・ベルクもそうでしょう。彼の《オーケストラのための3つの小品》、最後の楽章はまさしくカタストロ

    『マーラーを語る』が面白かった - mmpoloの日記
  • 田村隆一『若い荒地』を読む - mmpoloの日記

    田村隆一『若い荒地』(講談社文芸文庫)を読む。田村は戦後の日現代史の第一人者、その初期の詩集『四千の昼と夜』は現代詩の金字塔であることを誰も疑わないであろう。戦後すぐの頃田村や鮎川信夫、中桐雅夫、北村太郎、黒田三郎、三好豊一郎などが参加して作った詩誌が「荒地」だ。しかしこれは第2次「荒地」で、戦前から戦中にかけて第1次「荒地」があった。 田村は初め神戸の中桐雅夫編集の詩誌「LE BAL」に参加し、また春山行夫、村野四郎らが編集する「新領土」の会員にもなっている。そのころT. S. エリオットの『荒地』を読む。昭和14年から2年間、鮎川信夫は森川義信らと第1次「荒地」を発行する。戦争の機運が高まり、外国語の雑誌名が禁止され「LE BAL」は「詩集」と題名を変えるがそれも昭和17年に終刊する。 書『若い荒地』は戦前から戦中までの彼らの動静を綴っている。荒地グループとはふつう戦後の第2次荒地

    田村隆一『若い荒地』を読む - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2015/11/18
  • 長田弘が亡くなった - mmpoloの日記

    長田弘が亡くなった。5月3日、憲法記念日に。75歳だった。私が持っている長田弘の詩集は『現代詩文庫 13 長田弘』(思潮社)で、1968年に初版が発行された。私はそれを1971年に横浜で買っている。この時すでに4刷だから、長田弘は人気のある詩人なのだろう。平易な言葉で抒情的な詩を書いている。 これに収録されている「クリストファーよ、ぼくたちは何処にいるのか」は長い詩で、350行を超えている。5連に分かれているが、4連までの最後は「おお 誰が信じようとしなくとも/時は短かい、ぼくたちに/時はさらに短いのだ。」の3行が繰り返されている。その第2連の後半3分の1を引く。 ああ ぼくは 死んだクリストファー・ブラウンのことを じつになつかしく想いだす。 荒涼としたペンシルヴァニア州を横断し くるしい6月の煙霧に抱かれた シカゴへむかう朝のきついオートルートで 160キロ以上も 絶望的に 自動車をす

    長田弘が亡くなった - mmpoloの日記
    hyougen
    hyougen 2015/05/12