絵本作家・加古里子(かこさとし)さん 19歳で敗戦を迎えました。あさはかな軍国少年だった自分を恥じました。こんな自分が生きていていいか悩み、子どもがぼくのような愚かなことをしないように、大人の言葉をうのみにせず、自分で判断できる賢さを持てるよう手伝えるなら、生きる意味があると思えた。ぼくの人生は、このときからはじまった気がします。 ぼくの絵本の先生は子どもたちです。 大学卒業後、40代はじめまで、総合化学メーカーでモーレツ社員をしながら休日には子ども会にかよい、手づくりの紙芝居をみせました。 子どもは容赦がない。おもしろくないと、とちゅうでも遊びにいってしまう。でも、ほんとうに美しいものやおもしろいものにはちゃんと反応してくれる。その正直さがぼくは大好きでね。かきなおしては、「これで、どうだ」と真剣勝負をしました。 そんななかで生まれた紙芝居…
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