入山 前回の野中先生との対話では、まずは人と人の「共感」なくして知識創造は起こらない、ということが大きな学びでした。 野中先生のSECIモデルによる暗黙知と形式知の往復による知識の創出も、またそれと親和性の高い現象学も、「共感」が原点なのですね。 この後半では、こういった視点を実際のビジネスにつなげる話を伺いたいです。まず、このSECIモデルをビジネスパーソンが具体的なアクションにつなげていくためには、何が必要でしょうか。 野中 最近になってわかってきたのは、組織が一体となって動くための戦略は「物語」としてしか表現できないということです。 入山 「物語」とは、企業経営者が語るビジョンのようなものですか。 野中 物語(ナラティブ)は、プロット(筋)とそれを行動につなげるスクリプト(行動規範)で構成されます。ロマンのある筋書きは誰にでも描けるんです。たとえば、技術体系のように分析的な形式知で描
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