京都市が今年4月から配布を始めた「事前指示書」が問題になっている。だが、この問題を取り上げた新聞記事で指摘されている問題には、いくつか誤解も見られる。終末期医療に関する取り組みは京都市だけでなく各地に広がりつつあるため、こうした誤解が流布して終末期の取り組みが停滞するのは望ましいことではない。そこで以下では、簡単な「ファクトチェック」を行う。 事件のあらまし京都新聞の報道によると、事件のあらましはこうである。京都市は今年4月から、終末期医療に備えて自分の希望を事前に書いておく「事前指示書」を各区役所などで配布を始めた。事前指示書および一緒に配布されているリーフレットはオンラインでも入手できる。 リーフレットには、葬儀や財産に関する遺言と終末期医療に関する事前指示書の説明がある。また事前指示書には、痛みのコントロールや死を迎える場所などの全般的な希望と、終末期において心肺蘇生や人工呼吸器や胃