まさかこれほど早く真剣勝負の場で国内のトップクラブと顔を合わせることになろうとは。日曜に迫った初出場の天皇杯2回戦。奈良クラブの戦う相手は、言わずもがなJ1屈指の強豪チーム・アルビレックス新潟だ。 「このピッチの上、円陣を組んで、今、散った日本代表は、私たちにとっては『彼ら』ではありません。これは、私たちそのものです。」 1997年11月、フランスW杯出場を決めるべくアジア第三代表決定戦(イラン戦)に臨んだ日本代表の面々を前に、現場で実況中継した山本浩氏(元NHKアナウンサー)は試合前にこんな名実況を日本中のブラウン管に届けた。そこには日本代表に自らを同化させ、あたかも自分たち自身が今から戦うといった日本人アイデンティティの高揚を感じさせるものだった。 週末に戦いを控えた我々もそんな気持ちであるというのが正直なところだろう。奈良クラブが誕生してまだ19か月。昨年の今頃は土のグラウンドが主戦