さて、前回までは、量子コンピュータの基本アイデアと、その元となった量子論の基礎の基礎について、できる限りかみ砕いて説明してみた。 でもって今回は、さらにその続きとして「量子テレポーテーション」というものについて解説を試みたい。 テレポーテーションというのは、日本語で「瞬間移動」のことである。最近の映画「ジャンパー」を見たことのある人は、主人公が超能力を使って瞬時にさまざまな場所へと移動してのけたのを見ただろう。あれが、テレポーテーションだ。また、「ドラえもん」に出てくる「どこでもドア」も、機械(どこでもドア)を使ったテレポーテーションということができるだろう。 残念ながら、「量子テレポーテーション」はそんな派手なものではない。じゃあ、それはどんなものかについて、まずはその元となる「量子の絡み合い」と、そこから生まれた「EPRパラドックス」から説明していこう。 複数の量子のあいだには、量子力