知識共有の革新的なツールか,それとも信頼性に欠ける不完全な情報源か。フランスのジャーナリスト数人が,オンライン百科事典ウィキペディアの使われ方や運営方法,従来の百科事典との違いを検証しながら数々の問題点を考察する。 検索サイトからワンクリックで現れたウィキペディアの内容を何の疑いも持たずに引用する──。教育の現場では,与えられた課題に対して,ウィキペディアの内容をコピー・アンド・ペーストする学生が増加している。教育者ですらウィキペディアが抱える問題を十分に気付いていないと著者は警告を発する。 その問題とは,記載内容を疑う意識の不足にほかならない。ウィキペディアに書かれた項目は,修正の必要があれば別の利用者によって変更される。項目によっては,分単位で変更が加わることもある。つまり,その場で表示した内容が常に正しいとは限らない。 ウィキペディアは内容の妥当性を高めるために,必要があれば,記載す