安倍政権が進めている「アジア・ゲートウェイ構想」をご存じだろうか。アジア各国と日本の経済交流を妨げる障壁を取り払うことを狙った取り組みである。この数年、高成長を続けているアジア経済を取り込むため、アジアの経済連携で日本がイニシアティブを取ろうというわけだ。長期的に見れば、「東アジア共同体」という究極の目標に向けた動きの1つと言えるだろう。 欧州経済の回復ぶりを見れば、地域経済の統合が日本経済に与えるプラスが大きいことは今や明らかだ。現在のEU(欧州連合)の好景気は、欧州という大きい経済圏を設立した構造改革の成果が出てきたと言える。だが、東アジアに大きな経済圏をつくるという目標に向けて、日本はアジアの中で存在感を出し切れていない。 日本が着手すべきは「金融」からのアプローチ なぜ、アジアで最も高い経済成長を遂げた日本が、アジアの経済連携で中心になれないのか。私は、その理由がFTA(自由貿易協