「ミドリちゃん、大変なんだよー、起きて、起きて」 「葉初(はうい)、なんで、私の部屋の中にいるの!?」 「あー、それは。ドア、ノックしたけど起きそうになかったから。だいたいいつも、開けっぱなしでしょ」 「二階のベランダまで、よく登ったね……」 「恋の軽い翼で飛び越えました!」 *** 「『しんきゅうしはいしゃオーディション』?」 「は、はい。そうなんです……」 *** 「ナンバーワンになろうとする必要は、ないんじゃない? だって、もともと特別な、旧支配者(グレート・オールド・ワン)!」 「ちがうんです……。私たちは、オンリーワンでも、なんでもないんです。母は、私とおなじようなきょうだいたちを、私のほかに九百九十九体、生みました。私たちは、なにも特別じゃないんです。なにも、できないんです……」 *** 『その事件は衆人環視の中で起こったものの、実際になにが起きたのかについての証言は証言者によ
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