文部科学省の科学技術・学術審議会の小委員会(藤崎一郎主査)が、日米欧ロなど15カ国で共同運用する国際宇宙ステーション(ISS)への日本の参加延長を適当だとする報告書をまとめた。ISSは2020年で運用を終える計画だったが、今年1月に米政府が24年までの延長を提案し、各国に協力を要請した。国際協力を重視する観点からは、小委員会の結論は理解できる。だが、国際協力に先立って考えなければならないこと
宇宙飛行士若田光一さんが日本人初の船長を務めた国際宇宙ステーション(ISS)の視界が、急速に悪くなってきた。 ウクライナを巡る米ロ対立が波及し、ロシアが2020年でISSへの協力打ち切りを示唆したからだ。24年までの運用延長という米提案を拒むものだ。 巨費と長い年月をかけて建設されたISSは、あと14年で寿命とされる。最後は解体して大気圏に落とし燃え尽きさせる計画だが、それまでの維持もお金がかかる。何より飛行士を運ぶのがソユーズ宇宙船だから、ロシア抜きでは立ちゆかない。 何のためにいつまで運用を続けるか。ISSの後の宇宙開発の姿も思い描きながら、国際的な議論を積み重ねるしかない。 ISSには米国とロシア、欧州11カ国、日本、カナダの計15カ国が参加している。地上400キロの高さに浮くサッカー競技場ほどの建造物だ。 事業費は当初約4兆円と見込まれたが、建設が遅れたことなどで2倍に膨らんだ。
昨年11月から国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の若田光一さんが、第39代のISS船長に就任する。日本の有人宇宙活動にとっては歴史的なステップである。 米国とロシア以外の飛行士が、コマンダー(指揮官)と呼ばれる船長を務めるのは、若田さんが3人目だ。5月中旬の地球帰還まで約2カ月間、作業スケジュールの管理や緊急時の安全確保などで指揮を執る。 50歳の若田さんは今回が4回目の宇宙飛行となる。ロボットアームの操縦などの技術は米航空宇宙局(NASA)で高く評価され、飛行士仲間からの人望も厚い。 日本は、前回の若田さん長期滞在時(2009年)にISS実験棟「きぼう」を完成させ、無人補給船「こうのとり」がスペースシャトル引退後の大型物資輸送を担っている。若田さんの船長就任は、日本の宇宙開発技術と飛行士の能力が、世界から信頼された証しといえる。 中国が独自の宇宙基地構想で宇宙大国化を図る中、米国など
宇宙飛行士の古川聡さんが、ロシアのソユーズ宇宙船で飛び立ってから1週間が過ぎた。11月中旬までの約5カ月半、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する。 「宇宙と被災地を結んで、話ができたらいいと思います」。打ち上げ前の記者会見で、古川さんは、こう語った。東日本大震災の被災地の子供たちが夢や希望を語れる機会として、宇宙との交信を実現させてほしい。 外科医から飛行士に転身した古川さんは、12年の訓練期間を経て初めての宇宙飛行である。医師の宇宙飛行は、日本人では向井千秋さんに続いて2人目だ。 長期滞在のメリットを生かし、人体への無重力の影響調査など、自らが実験台となって本格的な医学実験に取り組む。その他、将来の火星旅行を想定した健康管理支援システムの検証など、実験テーマは多岐にわたる。 ISSの居住空間は普段着で生活できるとはいえ、過酷な環境にさらされる。たとえば宇宙放射線による被曝(ひばく)量
サッカーに例えれば、各国スター選手による世界選抜チームの主将を任されるようなものだろうか。宇宙飛行士の若田光一さんが国際宇宙ステーション(ISS)で船長を務めることになった。日本人が有人宇宙活動の分野でリーダーとして認められたことを象徴する明るいニュースだ。 47歳の若田さんはこれまでに3回、宇宙飛行を経験している。2009(平成21)年には日本人で初めてISSに長期滞在し、日本の実験棟「きぼう」を完成させた。ロボットアームのスペシャリストとして、米航空宇宙局(NASA)でも高く評価され、人望も厚い。船長起用は、プレーヤーとしての高い技術とともに、リーダーシップや協調性など指揮官としての資質が評価されたものだ。 若田船長の誕生を喜ぶ一方、冷静に見つめなければならない課題もある。それはISS計画が大きな転換点を迎えていることだ。 ほぼ四半世紀をかけたサッカー場規模の巨大な宇宙構造物は今年中に
この20年で地球周回軌道を飛行した日本人宇宙飛行士は全部で8人。みな重要な役割を果たしたが、搭乗チームのリーダー役を担ったことはなかった。 若田光一さんが国際宇宙ステーション(ISS)でコマンダー(船長)を務めることが決まったことに、「ようやくここまできたか」と感慨を抱いた人も多いだろう。 チームをまとめるだけでなく、ISSの安全確保や搭乗員の健康管理も任される。責任は重いが、能力と指導力を見込まれたのはうれしい。日本人が宇宙という特別な国際協力の場でリーダーシップを発揮することは日本の存在感を高めることにもつながる。経験も、「和の心」も生かし、無事任務を遂行してほしい。 予定から大幅に遅れたがISSは今年完成する。当初の運用期間は16年までだったが、20年まで延長される予定だ。これまで、若田さんと野口聡一さんが長期滞在を経験しており、今年は古川聡さんが、来年には星出彰彦さんが長期滞在する
日本の宇宙開発技術がまた一歩進んだ。宇宙航空研究開発機構の無人補給機「こうのとり」2号機が国際宇宙ステーションに到着し結合している。 食料や実験機器などが順次、ステーションに運び込まれる。一昨年の1号機の成功に続き、これで補給技術はほぼ確立された。 ステーションには大きな転換の年だ。飛行士や物資輸送の中核だった米国のスペースシャトルが退役する。人の運搬は当面、ロシアの宇宙船ソユーズに頼る。 こうのとりの果たす役割も大きくなる。ロシアや欧州のものより搬入口が広いので、大型実験機器も運べるのが強みだ。 現在機は物資を降ろして空いたスペースにステーションの廃棄物を積んで離脱し、大気圏に突入して大部分が燃え尽きる。 補給機の需要を高めるには、改良して物資を持ち帰れる機能を付け加えたい。宇宙機構によると、実現性が高いのは離脱後途中で本体から高温に耐えるカプセルを放出させる方式だ。カプセルは
日本の無人補給機「こうのとり」2号機は、静かに国際宇宙ステーション(ISS)の所定の位置に止まった。 高度350キロで行われた結合作業は完璧だった。一昨年秋の初号機に続く成功だ。日本の宇宙技術の高さを世界に示したことを評価したい。 物資補給はISS参加国としての義務で、2015年まであと5回の打ち上げが決まっている。日本は一昨年完成した実験棟「きぼう」の提供と、こうのとりによる物資補給で、資金面だけでなく技術面でもISSに貢献できる位置に立った。 秒速8キロで飛行するISSにぴたりと寄り添わせる技術は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が独自に開発した。機内環境も飛行士が普段着で活動できる有人宇宙船並みの機密性が確保されている。繊細な制御技術と高い安全性を実現するため、日本の宇宙技術の全てが注がれた。 米航空宇宙局(NASA)やISS飛行士との緊密な連携も必要だった。結合の成功は日本への信頼
野口さん帰還 フロンティア開拓に生かそう(6月4日付・読売社説) 国際宇宙ステーションに長期滞在していた宇宙飛行士の野口聡一さんが地球に無事帰還した。 宇宙滞在期間は163日間にも及ぶ。日本人としてこれまでで最も長い。 帰還直後には「地球の空気はおいしい」と感想を述べた。久々の地球の重力に、「首に違和感がある」とも漏らしていた。 ステーションは人類の宇宙進出の最前線だ。改めて過酷なフロンティアと思う。それでも宇宙滞在中、笑顔で映像を送り続けた野口さんに、お疲れ様と言いたい。 宇宙でしかできない実験も多数こなした。筋肉の病気研究のため無重力で筋肉繊維を育てたり、新材料開発のため結晶を作ったりして貴重なデータを得ている。自ら薬剤を飲む実験もあった。 来年、再来年も日本人の長期滞在が予定されている。 もっと時間はかかるが、より有効利用できる高度な実験はできないものか。 ステーション計画を担う宇宙
日本の宇宙開発 山崎さん活躍でも課題は多い(4月22日付・読売社説) 国際宇宙ステーションから、任務を終えた山崎直子さんが帰還した。 日本で初のお母さん宇宙飛行士だ。15日間のスペースシャトルの飛行中活躍を応援していた夫と長女も再会を喜んだ。まずは、お疲れ様と言いたい。 初飛行から約30年のシャトルは年内で退役する。今回は、日本人として最後の搭乗だった。 山崎さんは物資輸送の責任者という重責を担い、ネズミの筋肉細胞を育てて無重力の影響を調べるといった実験にも携わった。和服姿や琴の演奏を披露するなどパフォーマンスも次々こなした。 こうした努力の先に何を目指すのか。日本は、ステーションでの国際協力を有人宇宙活動の柱に位置づけてきたが、見直しを求める声が出ている。 代表例が、前原国土交通相(宇宙開発担当)の有識者会議が今週まとめた提言だ。改めて計画のメリットを検討すべきだという。 日本がステーシ
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