ここまで重大インシデント1件をとりだして概説しましたが、それによりインシデントの評価と分析、それによるフィードバックがいかに重要かはよくおわかりいただけたと思います。 今回の重大インシデントでも、平素「科学リテラシー」やら「ニセ科学批判」やらでご活躍の方々が、「非常用DG(ディーゼル発電機)があるから騒ぐな」「非常用DG動いたからダイジョウブ」「騒ぐ奴は情弱」「伊方は安全です」などと大言壮語をなさっていましたが、これらは原子力安全の論理からは完全に誤っています。 非常用DGは、多重防護の第2層から第3層に相当するもので、同じく第1層から第2層に該当する外部電源の受電継続の後段に相当します。多重防護は前段否定の原則がありかつ、原則として相互独立でなければなりません。 表1 多重防護の概要 IAEA基準の動向 − 多重防護(5層)の考え方等 平成23年3月2日 (独)原子力安全基盤機構 原子力