自殺に手を貸すのは禁止、外国から自殺しにやって来るのも禁止──常識以前と思えるルールだが、スイスでは自殺幇助も、外国の末期患者などが自殺目的で訪れるのも合法。チューリヒ州で先週、そんな「スイス流」の是非をめぐって異例の住民投票が実施された。 世界で最も進歩的な安楽死制度を持つスイスでは自殺幇助が認められており、毎年チューリヒだけでも200人近くが自らの意思で命を絶っている。ヨーロッパではオランダ、ベルギー、ルクセンブルクが安楽死を容認しているが、外国人にもその機会を与えているのはスイスだけ。回復を見込めない慢性疾患患者など、末期患者以外でも本人が熟慮し、医師の厳しい審査を通れば自殺幇助を受けられる。 ただ、そのおかげで外国人が安楽死の場を求めてやって来る「自殺ツーリズム」や、末期患者以外で安楽死を求める人の数が増え、社会問題になっていた。 投票結果は現状維持派の圧勝。自殺幇助禁止には85%