私が初めて浜野佐知という映画監督を知ったのは04年。北原みのり(女性向けアダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表)の著書『ブスの開き直り』の出版記念イベントだった。ちょうど浜野の監督作品『百合祭』が公開される少し前で、映画のテーマでもある「日本社会では『ない』ことにされているババアのセックス」について語っていたのを覚えている。浜野の長いキャリアを考えれば、私が彼女を知るようになったのはずいぶん後になってからだ。 浜野はピンク映画を40年以上、数にして300本以上も撮ってきた。女性監督などほとんどいなかった時代から、怒号を浴びせられ、セクハラされ、主演女優から意地悪され、それでもあきらめずに映画製作を続けてきた彼女の奮闘は、著書『女が映画を作るとき』(平凡社新書)を読んでみてほしい。 01年に作られた『百合祭』は彼女の「一般映画」第2作で、モントリオール世界映画祭はじめ各地の映画祭に出