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ブックマーク / book.asahi.com (14)

  • チベットで性産業に従事する女性たちの背景――『花と夢』が描く現代のラサと信仰|じんぶん堂

    記事:春秋社 「神の都」ラサにはチベット人のみならず多種多様な人々が各地からやってくる 書籍情報はこちら 書はツェリン・ヤンキーによってチベット語で著され、2016年に中国チベット自治区の区都ラサで刊行された長編小説『花と夢』の全訳である。 人気女性作家のツェリン・ヤンキーが都会に出稼ぎに来て娼婦となった4人の女性を主人公に据えて描いた作品は胸を打つ悲劇の物語として評判を呼んだ。多くの媒体でも紹介され、刊行翌年には重版もしている。長期間にわたり厳しいロックダウンが行われたコロナ禍のチベットでは、インターネットにアップロードされた小説の朗読に耳を傾ける人が多かったそうだが、『花と夢』の朗読は最も人気のあるコンテンツの一つとなり、女性や若者を中心とした多くの人びとが熱心に聴き入ったという。構想から7年間かけて書き上げたこの物語は、かくして会心のヒットとなった。 現代のラサを舞台とするこの作

    チベットで性産業に従事する女性たちの背景――『花と夢』が描く現代のラサと信仰|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2024/07/03
  • 今あらためて『資本論』を読むために 「日本資本主義論争」早わかり|じんぶん堂

    記事:白水社 日の「近代化」と「豊かさ」をめぐる思索! 野原慎司著『戦後経済学史の群像 日主義はいかに捉えられたか』(白水社刊)は、内田義彦、大河内一男、高島善哉、小林昇、水田洋、伊東光晴という戦後経済学の巨人に即し、社会科学が輝いた時代を解明する。 書籍情報はこちら マルクスが捉えた資主義社会は、西欧とりわけイギリスをその十全な発展のモデルとしたものであり、日における資主義の現状にそのまま当てはまるかは疑義が残ることに気づいた知識人たちがいた。彼らは、日における資主義を改めて考えた。彼らが考え出した日主義の段階的発展の理論は、マルクス・レーニンに影響されつつも、日独自の理論展開であった。彼らの考えは論争となった。日社会は、どのような資主義社会であり、どのような段階にあるのかをめぐって、1920年代から30年代にかけて論争が交わされたのである。それが日

    今あらためて『資本論』を読むために 「日本資本主義論争」早わかり|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2023/10/15
  • マルクスがのこした「幻の書」 『一八世紀の秘密外交史 ロシア専制の起源』|じんぶん堂

    記事:白水社 ロシアの強権体質は、どこからくるのか? カール・マルクス著『一八世紀の秘密外交史 ロシア専制の起源』(白水社刊)は、クリミア戦争下構想され、数奇な運命を辿った幻の書。マルクスによるロシア通史「近代ロシアの根源について」、「ロシアの海洋進出と文明化の意味」を収録。 書籍情報はこちら なぜ、この著作が長く入手困難であったのかは、マルクスの文を読んでもらえば、すぐ理解していただけると思われるが、とりわけ文に充ちている反ロシア的な描写の問題がある。それが20世紀社会主義の最高指導者スターリンの神経を逆なでして、マルクス・エンゲルス全集にさえ採録されなかった理由でもあるといわれている。すなわち、書の存在は、マルクス・エンゲルスなど社会主義文献の収集者であり解説者であったリャザノフには既に知られており、そこからすれば当然全集に収録されてしかるべきものであった。また、そうでなければ全

    マルクスがのこした「幻の書」 『一八世紀の秘密外交史 ロシア専制の起源』|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2023/04/11
    "ウィットフォーゲル序文が述べているように、「西側の愚かな無関心な政策」が、ソ連とナチスによるポーランド分割を許し、戦後におけるソ連陣営による東欧の乗っ取りを可能にした"
  • 不当な支配に服することなく―映画「教育と愛国」が問うもの 松本創さん寄稿|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 映画教育と愛国」を監督した斉加尚代さん(毎日放送報道情報局ディレクター) 書籍情報はこちら 日の学校は心を育てるところではない。政府が選んだ事実や認められた思想のみが教えられる。教育の目的は、同じように考える子どもの大量生産である 公開中のドキュメンタリー映画教育と愛国」(斉加尚代監督)の冒頭、古いモノクロ映像とともに英語のナレーションが流れる。太平洋戦争末期にアメリカで作られた国策映画。そこに映る日の戦時教育は確かに異様だ。だが、これは敵国への恐怖と憎悪を煽るプロパガンダに過ぎないのだろうか。77年前に終わった過去だと片づけられるだろうか──。 右派の標的になり教科書会社は倒産、学校には大量の抗議はがき 「教育と愛国」は、大阪の毎日放送(MBS)で記者/ドキュメンタリーディレクターとして20年以上学校現場を取材してきた斉加監督が、2017年に制作した同名の番組をも

    不当な支配に服することなく―映画「教育と愛国」が問うもの 松本創さん寄稿|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2022/05/18
  • 「仲直りの理」書評 加害者を許せば被害者も癒える|好書好日

    「仲直りの理」 [著]大坪庸介 先日ある人からひどい目に遭わされ、後で謝罪された。だが私はその謝罪を受け入れられない。関係は修復した方がよいのだろうが、赦(ゆる)す気になれない。そんな心境のとき書店でこのを目にした。著者は心理学者で、謝罪と赦しを論じている。を手に取り適当にページを開くと、太字で「またひどいことをしそうな相手は赦さない」と書いてあった。わかる。そういうことだ。私が感じているのはそういうことだ。 私は相手がまた同じことをしそうな気がするから、赦す気になれない。それは感情の働きだ。ただし私は合理的に思考して、赦さないという判断をしてもよかったはずだ。容易に赦すと、相手は再度同じことをしてきそうなのだから。 ここで興味深いのは、私が合理的な思考なしで、自動的な感情で「赦さない」と思えたことだ。人間はこうした、赦しについての様々な感情を、進化の過程で獲得してきた。その仕組みはよ

    「仲直りの理」書評 加害者を許せば被害者も癒える|好書好日
    kaikaji
    kaikaji 2021/12/01
    "被害者は加害者を赦さねばならないわけではない。ただし赦しは自分の傷を癒やす。赦さずとも赦そうとする態度をもつだけでストレスは軽減されるのだという。私はこの本をいまの自分のために書かれたようだと思った"
  • スピノザの自然主義プログラムとは何か?(後編):決定論的行為者因果説・現実的本質・目的的偶然・現動的な力|じんぶん堂

    じんぶん堂TOP 哲学・思想 スピノザの自然主義プログラムとは何か?(後編):決定論的行為者因果説・現実的質・目的的偶然・現動的な力 記事:春秋社 Portrait of a man, thought to be Baruch de Spinoza, attributed to Barend Graat 書籍情報はこちら 前編:必然主義と目的論批判 はこちら 自由意志も目的論もない行為者性――第I部「スピノザの決定論的行為者因果説」 この自然すべてが普遍的な因果的必然性によって決定されている、というのがスピノザの立場だ。ではこのとき、人間の欲求、意志、行為はどこに位置づけられるだろう。それらもまた普遍的な因果の連鎖の中に位置づけられねばならないというのが、スピノザの見方である。ここから僕は、「決定論的行為者因果説」という因果概念をスピノザに認め、それによって、普遍的な因果系列の外部の余地

    スピノザの自然主義プログラムとは何か?(後編):決定論的行為者因果説・現実的本質・目的的偶然・現動的な力|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2021/09/09
  • スピノザの自然主義プログラムとは何か?(前編):必然主義と目的論批判|じんぶん堂

    記事:春秋社 Spinoza, Excommunicated by Samuel Hirszenberg, 1907 書籍情報はこちら 自然主義プログラム――自由意志も目的論もない世界の中で人間を理解する そもそも「スピノザの自然主義プログラム」とは何か。これはスピノザの言葉ではなく僕なりの命名だが、スピノザ思想の中に見いだされる、次の2点を柱とする構想である。 (1)自由意志概念の否定を伴う決定論または必然主義、およびその帰結としての唯現実論(アクチュアリズム) (2)目的論的自然観の徹底的な否定 この構想の背景として想定しているのは、17世紀科学革命による、近代的な力学的自然観の成立である。近代力学は、中世までの目的論的自然観を退け、「目的」とは無関係な法則に従って運動する微粒子の総体として自然を説明する。 このような自然観を踏まえた上でスピノザは、目的なき自然法則を乗り越えられるよう

    スピノザの自然主義プログラムとは何か?(前編):必然主義と目的論批判|じんぶん堂
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    kaikaji 2021/09/04
  • ポスト・コロナ時代の完全無人店舗――井上智洋「頭脳資本主義の到来」から|じんぶん堂

    記事:世界思想社 Image by geralt from Pixabay 書籍情報はこちら アマゾンゴーとフーマーフレッシュ 今後、画像認識やロボットや自動運転車のような「スマートマシン」が普及すれば、金融業のような情報を扱う産業だけでなく、実空間の産業でも自動化が進む可能性がある。 今、私がもっとも注目しているのは小売業で、それもアマゾンのようなECサイトではなく実店舗だ。実店舗こそが、画像認識のようなAI技術を導入する余地が大きいからだ。 実店舗にAIを導入するというと、「アマゾンゴー」を思い浮かべる人が多いかもしれない。アマゾンゴーは、アマゾン社がシアトルにオープンしたコンビニのような店舗だ。 ビデオカメラとセンサー、そしてAIの先端技術であるディープラーニングを駆使して、レジなしの決済を実現している。言わば「機械の眼」が、誰がどの商品をバッグに入れたのかを管理しているのである。

    ポスト・コロナ時代の完全無人店舗――井上智洋「頭脳資本主義の到来」から|じんぶん堂
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    kaikaji 2021/02/01
  • 「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日

    文:ハコオトコ 立原透耶(たちはら・とうや)作家・翻訳家 1969年生まれ。ファンタジーなど幅広い作品を執筆。「ひとり百物語」シリーズ(メディアファクトリー)など著作多数。華文SFの翻訳も長く手掛け、最近も中国語圏の作家の作品を翻訳した『時のきざはし 現代中華SF傑作選』(新紀元社)を出版。 戦後、ソ連の影響を受けた中国SF ――翻訳・監修に多くの人が携わった「三体」シリーズ邦訳版ですが、立原さんは主に和訳された文章と中国語の原書と乖離が無いか、固有名詞やルビのミスが無いかなどをチェックする「総監修」を担当しました。華文SFに造詣が深く、翻訳も長く手掛けてきた立原さんですが、まずは三体の背景にある中国SF事情、歴史を教えてください。 第二次世界大戦後、中国ではソ連のSFが最初に(大々的に)影響したと思います。同じ共産国として中国の目指す科学技術立国、「頑張ったらこんな良い未来があるんだよ

    「三体」監修・立原透耶さんインタビュー 中国SF界に現れた、突然変異的なスペースオペラ|好書好日
    kaikaji
    kaikaji 2020/07/11
  • チベット族はなぜ鳥に死体を食べさせるのか? 上田信『死体は誰のものか』より|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 original image: Fabio Nodari / stock.adobe.com 書籍情報はこちら チベット族の重層的な信仰 私が天葬について、チベット族から直接に話を伺った場所は、中国の青海省黄南チベット族自治州同仁県に属するランジャと呼ばれる村であった。州名に「黄南」とあるように、この地域は黄河の上流部の南に位置する。またこの地域はチベット語で、レプゴンと呼ばれる。天葬についてフィールドワークを行ったガザンジェも、この地域で調査を行った。 ランジャ村には、黄河支流の隆務河のほとりの高台の上に、7つの集落が点在している。2003年夏から2007年夏までの期間、演劇研究者の細井尚子、民族音楽研究者の山宏子と3名で、短期間の調査を繰り返した。 この村の興味深い点は、信仰が重層的なところである。古層から順番に挙げると、まず山の神が、ハワ(あるいはラッワ)と現地で呼

    チベット族はなぜ鳥に死体を食べさせるのか? 上田信『死体は誰のものか』より|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2020/02/02
  • 在野研究を続けていくためのスキル 『吉本隆明全集 第21巻』より|じんぶん堂

    記事:晶文社 『吉隆明全集 第21巻』(晶文社) 書籍情報はこちら が売れなくなったのは誰のせい? 硬い教養的な雑誌は、文学にしろ、文学以外の、思想その他全般にわたる雑誌にしろ、ますます経営が困難になってゆく。それはなぜでしょうか。つまり、何が悪いのか、読者の教養の程度が悪くなったからというふうに読者のせいにしたらいいのか、それともそうではなくて、出版社のせいにしたらいいのか、それとも筆者のせい、つまり書くひとのせいにしたらいいのかということは、とても大きな問題です。これは雑誌経営の問題であると同時に、文化の問題であります。またもしかすると、社会体制の問題なのかもしれません。 ところで、ぼくらのやっている『試行』という雑誌は一九六一年九月に創刊号が出ています。硬い雑誌の御多分に漏れず、いつやめようかという岐路に立たされているというのが、ここ一、二年の現状です。読者は減る一方ですし、

    在野研究を続けていくためのスキル 『吉本隆明全集 第21巻』より|じんぶん堂
    kaikaji
    kaikaji 2020/02/02
    "「このごろの若い者は、思想がなくなった」とか「むつかしいことを考えようとしなくなった」とかいうひとはたくさんいます。それは読者が悪いといっているのと同じです。ぼくの考えではそれは間違いです"
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    秘密政治の系譜学――。おどろおどろしく、だが現代性を感じさせるサブタイトルの大著『公開性の根源』(太田出版)を、大竹弘二・南山大准教授(政治思想史)が刊行した。現代の民主政治を語る時に欠かせない概念「主権」「統治」と「公開性」の関係を歴史的にさかのぼると「私たちがいま、主権の危機に直面していることが浮かび上がる」という。 公開性とは何か。現代において、それは「主権(を持つ国民)による統治」を可能にする条件だ。わかりやすい事例が議会の討論。公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)を批判するとき、行政を担う政府に情報「公開」を求める。統治権力が私たちの主権の行使に服しているかをチェックする条件として「公開性」が語られる。 書が掘り下げるのは「公開性」という考え方が生まれつつあった16~18世紀の西欧社会だ。宗教的権威が失墜し、世俗的な王の権力が強まっていく中で「公開性」とは、その権勢を人々に見せつけ

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    kaikaji
    kaikaji 2018/08/28
  • 「自由か、さもなくば幸福か?」書評 監視社会化を積極的に評価|好書好日

    自由か、さもなくば幸福か? 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書) 著者:大屋 雄裕 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット 自由か、さもなくば幸福か? 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う [著]大屋雄裕 全ての人間の身体にGPS機能付きのチップが埋め込まれた社会を想定してみよう。GPSとは、人工衛星を用いてその対象が地球上のどこにいるのかを正確に測定するシステムのことだ。つまり、あらゆる人間がいつ、どこにいるのかがつねに測定され、コンピューターに記録される社会である。 こうした社会では、犯罪が起こってもすぐに犯人は特定されるだろう。たとえ殺人犯が遺体からチップを取り除いて犯行を隠匿しようとしたとしても無駄だ。チップが取り除かれたときにそこにいた人間は特定されるからだ。生体反応によって稼働するチップならば、よこしまな人間が自分の身体からチップを取り除いた時点で、警察

    「自由か、さもなくば幸福か?」書評 監視社会化を積極的に評価|好書好日
    kaikaji
    kaikaji 2017/04/30
    アリババなどが提供する社会信用システムによる監視社会化が話題になっている今だからこそ読みたい一冊。
  • asahi.com(朝日新聞社):廣松渉―近代の超克 [著]小林敏明 - 書評 - BOOK

    廣松渉―近代の超克 [著]小林敏明[掲載]2007年8月26日[評者]柄谷行人(評論家)■京都学派への反発と共感の底に 廣松渉は、マルクス主義の哲学者として知られている。しかし、読者の中には、つぎの点でとまどいを覚えた者が少なくないだろう。一つは、死語化した漢語の異様なほどの連発である。第二に、晩年に朝日新聞に載せたエッセーで、「日中を軸にした東亜の新体制を!」と提唱したことである。どうして、これらが「マルクス主義」と関係するのだろうか。 書で、著者は、廣松の仕事のエッセンスを手際よく解説するとともに、以上のような疑問に答えようとした。それは廣松を、「日の近現代思想史の流れの中に位置づける」ことである。中でも重要なのは、西田幾多郎や京都学派哲学者とのつながりである。廣松は京都学派に対して、反発と同時に強い共感をいだいていた。おそらく、このことを知るだけで、多くの疑問が氷解するはずである

    kaikaji
    kaikaji 2007/09/24
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