水素自動車の普及に中国が本腰を入れ始めた。 その背景には、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及が進んできたことがある。発電量が自然条件に左右されやすい再生可能エネルギーの弱点を補うため、発電した電気を水素に変えて貯蔵する。その手法の有効性が認知されてきたことで、再生可能エネルギー利用の「出口」としての水素自動車の存在感が高まってきた。 政府の後押しを受け、中国各地では商用車を中心に水素自動車の関連産業が続々と立ち上がり始めている。個々の技術レベルでは先進諸国とは差があるとされるが、国内市場の大きさを背景に、さまざまな企業が果敢に新製品を開発し、市場が急拡大する中国的「野蛮な成長」のパワーはEVでも実証済みだ。 中国の自動車関連SNSでは昨今、「EV派」と「水素派」がクルマの将来像をめぐって激論を闘わせている。中国社会の水素自動車に対する視線は大きく転換しつつある。 今回はそんな話をしたい