4月開幕の大阪・関西万博で大阪府や近隣自治体が実施する学校単位での無料招待事業をめぐって、来場を取りやめる学校や自治体が相次いでいる。引率を担うことになる教員らからは不安の声が漏れる。何が課題になっ…

「俺はいつになったら解放されるんだ…」「中国人はこの思いをわかってくれない。でも、どれだけ身近な相手であっても、普通の日本人では絶対に理解できない」 冠婚葬祭の場以外で、57歳の男がワンワン泣いている姿を見たことがあるだろうか? 私は見た。しかも、相手は数多くの「反中本」の刊行で知られる、あの石平である。 ちょうど30年前の1989年、北京で体制改革を訴える学生デモを中国共産党当局が武力鎮圧した六四天安門事件が起きた。一昨年末、私は同事件をテーマにした『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』の取材のために天安門世代の1人である石平に会ったところ、なぜか彼の心の奥に封じられていた重い扉を開けてしまった。2018年2月に『現代ビジネス』サイト上でおこなった以下の対談もその一部である(<天安門事件で空っぽになった石平が語る「その後の人生」>)。 私はその後も何度か石平と会い、やがて天安門事件3
2月28 河野龍太郎『日本経済の死角』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 近年、注目を集めているエコノミストが「失われた30年」の要因と、現在の日本の経済状況の問題点を診断した本。 副題は「収奪的システムを解き明かす」となっていますが、人によっては「収奪的」という言葉から2024年のノーベル経済学賞を受賞したアセモグル、ロビンソン、ジョンソンの議論を思い起こすかもしれませんが、本書では現在の日本を「収奪的システム」とみなして議論を進めています。 議論は多岐に及んでおり、そのすべてが正しいかどうかを判断する力は評者にありませんが、少なくとも人々の肌感覚には合った議論が展開されており、著者が注目を浴びている理由というのはよくわかりました。 目次は以下の通り。第1章 生産性が上がっても実質賃金が上がらない理由 第2章 定期昇給の下での実質ゼロベアの罠 第3章 対外直接投資の落とし穴
タイ側から撮影したミャンマー東部カイン州シュエココの様子。中国系犯罪グループの拠点があるとされ、カジノやホテルなどが並んでいる=2025年2月5日、ロイター ミャンマーとタイの国境地帯が、中国系犯罪組織による特殊詐欺の拠点となっている。偽の求人情報で集められた日本人も含む外国人が犯罪行為に加担させられ、その数は1万人に上るとされる。なぜこの地域が犯罪組織に狙われたのか。国境問題に詳しい近畿大の岡野英之准教授(ミャンマー・タイ研究)に聞いた。 ――犯罪組織が集まるミャンマー東部カイン州ミャワディ周辺はどのような地域なのでしょうか。 ◆もともとタイとの「闇交易」が盛んに行われ、潤ってきた地域でした。ミャンマー(当時はビルマ)が1948年に英国から独立した翌年から、カイン州では少数民族武装勢力の「カレン民族同盟(KNU)」が独立国家の樹立を目指して一帯を支配下に置きました。
アメリカのトランプ大統領は「私の誇れるレガシーはピースメーカーになることだ」と就任演説で語っていた。「ウクライナ戦争を終わらせる」と公言し、ロシアとの協議に前のめりになるほど動きを加速させている。 一方、アジアに目を向ければ台湾海峡の軍事的な緊張はトランプ政権になってからも続いている。2月10~12日には、トランプ政権発足後、初めてアメリカ海軍の駆逐艦と海洋観測船が台湾海峡を航行した。12日には、中国人民解放軍が台湾周辺で軍事演習を行ったという。台湾を巡る米中の対立は激化していくのか。 トランプ氏がピースメーカーならば、2029年1月までの任期中に台湾海峡でくすぶる火種を煽ることはないのではなかろうか。この数年注目されてきた「中国の台湾侵攻は2027年」説がまさにトランプ2.0の期間中に訪れる。だが、これまで中国が「〇〇年に軍事侵攻する」と明言したことは一度もない。 トーンダウンする「20
DeepSeekなど中国の高性能AIの登場は、科学の力で資源の不足を乗り越えられることを示した。写真はアリババが一般公開した自社開発の対話型生成AIサービス「通義千問(Qwen)」。2023年9月13日(共同通信社) DeepSeekはなぜ優れているのか? では、DeepSeekは、OpenAIなどに比べて性能が劣るICしか入手できない状況のなかで、いかにしてそれらより効率的に生成AIを作ることができたのだろうか。OpenAI側はDeepSeekのモデルはOpenAIのモデルを不正に「蒸留」して作成したものだと非難している(『Gigazine』、2025年1月30日)。 「蒸留」とは、AIが世の中のいろいろなデータを学習する際に、まず大きなモデルに学ばせておいて、そのエッセンスを小さなモデルに詰め込むことを指す。DeepSeek自身も、その推論モデルDeepSeek-R1をより小さくした蒸
<ここまでのあらすじ> 私は2024年の兵庫県知事選挙に、某候補者の支援団体代表としてかかわった。選挙には負けた。それは”異例の選挙”と呼ばれるもので、これを書いている2025年の正月もメディアや専門機関の様々な検証が続いている。 私も、次の選挙がもっと気持ちいいものになるように、「私の現場から見た異例の選挙」を振り返るシリーズ。 前回は、私の立場での活動上、いちばん困った「デマ」のひろがり方とその現場について整理しました(「③デマは”本当”を駆逐する」)。今回は続けて、「誰がデマをひろげたのか」を考えます。 今回、私が支援していた候補者の政策について多くの「デマ」が出回った。「出回る」というのは、「誰かがひろめる」を意味する。ではいったい誰がデマをひろめたのか? ■ 善意の人による「どっちが洗脳されてるのか合戦」これについて、興味深い調査があった。日本ファクトチェックセンターとGLOCO
ノア・スミス「アメリカは指導者たちによって売り払われようとしている:メッテルニヒ=リンドバーグか,逆キッシンジャーか」(2025年2月21日) 「中国・ロシアと右派大同盟を結集できる」とトランプとイーロンが思ってるなら,その先に待ってるのはまた別の厄介ごとだ.By Jan Jacobsen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commonsちょっと想像してみよう.中国・ロシア連合に対してアメリカが大規模戦争に負けたら,どうなるだろう.勝利した中露連合は,降伏条件として,いったいアメリカにどんなことを強制するだろう? ぼくには確かなことはわからないけれど,第一次世界大戦の講和条件から考えてみると,アメリカ側が譲歩を強いられる項目は,こんな具合になるかもしれない: 撤退:中国/ロシアの覇権に抵抗を試みている国々への支援を一方的に取りやめるのをアメリカは強いられるだろう.さ
生成AIの開発競争を指して「覇権争い」と呼ぶのはミスリーディングである。写真はタブレット端末などに表示されたDeepSeekのスタート画面。2025年1月27日(共同通信社) 中国杭州市の投資ファンド、幻方量化(High-Flyer)は2025年1月15日に生成AIアプリDeepSeek-V3を一般向けに無料公開した。これがなんとOpenAIのGPT-4oを上回るほど賢く、しかも557.6万ドルという超低コストで作られたというので世界を揺るがす大騒動になっている。 DeepSeek――その衝撃の性能 この衝撃でAI向けIC最大手のエヌビディアの株価が1月27日には前日の142.6ドルから118.6ドルへ暴落し、時価総額にして5890億ドルが一日で蒸発した。その情報を伝えたNHKのニュースは、生成AIをめぐる米中の「覇権争い」がますます激しさを増すでしょう、と結んだ。 このニュースを聞いて、
ときおり、最近のアメリカの社会問題についてどう考えているか尋ねられることがある。私は大抵、「その仕事は私には役不足ですよ」と言ってコメントを控える。「結局のところ、アメリカの何が問題か突き止めるのに批判理論の博士号は必要ありませんから」と。実際私は批判理論で博士号をとっているから、アメリカの欠陥を見つけることなど朝飯前だ。あらゆる問題に関して、答えは明白である。多すぎる銃、時代遅れの憲法、勝者総取り方式の選挙、政府への不信、多すぎる拒否権、などなど。 というのは本音ではなく、そういう質問があまりにも多いので、会話から抜け出すための方便として言っているだけである。実際の見解を述べると、アメリカの批判理論は、他のほぼ全ての西洋諸国に比べてはるかに難しい。これはアメリカの社会問題のほぼあらゆるケースで現れるパターンのためだ。アメリカで現れている問題のどれについても、明白な解決策が存在する。だがそ
昨日のドイツの総選挙において、おそらく最も重要で前向きなメッセージは、有権者の投票率の大幅な増加だ。アメリカ副大統領のミュンヘンでの挑発に反して、ドイツでは民主主義は健在である。抑圧的なリベラル・エリートによって公的生活から排除され憤っているサイレント・マジョリティー(沈黙の多数派)など存在しない。憤っているマイノリティ(少数派)はいるが、彼らも選挙制度を通じてその声を上げており、特に〔極右正統〕AfD(ドイツのための選択肢)を通じて声高だが、それでもAfDは21%を超えることはなかった。ドイツの洗練された民主主義制度は、アメリカでMAGAが果たしたような、マイノリティ(少数派)による国家支配を防いでいる。 出典:ファイナンシャル・タイムズ紙 AfD(ドイツのための選択肢)は全ての政党から票を奪ったが、特にメルツ率いる〔中道右派政党〕CDU(キリスト教民主同盟)、沈没寸前の〔中道左派・経済
昨年12月18日、女子学生に性的暴行を加えたとして強制性交等罪に問われた滋賀医科大学の男子学生2人の控訴審で、大阪高裁(飯島健太郎裁判長)が「逆転無罪」判決を言い渡し、社会に波紋を投じた。 戸館圭之弁護士「袴田事件と地続の話として……」 SNSでは高裁判決に対する非難の声が多くあがり、反対署名運動にまで発展。集まった署名は10万筆を超えた。 一方で、そうした動きに対して多くの司法関係者が苦言を呈することになった。袴田事件の弁護団の1人である戸舘圭之弁護士もその一人。本件に関して、戸舘弁護士がどのような問題意識を持っているのか、話を聞いた。(杉本穂高) 大原則「疑わしきは被告人の利益に」が忘れられている?――大阪高裁の逆転無罪判決と、その後に起きた署名活動など社会の反応について、どのような問題意識をお持ちでしょうか。 戸舘弁護士:そもそも刑事裁判とは、ある人物を犯罪者として処罰するのかどうか
ロシアの軍事研究で知られる東京大先端科学技術研究センターの小泉悠准教授へのロングインタビュー。最終回では、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえた上での日本の防衛力強化や、戦後80年を迎える中での安全保障の議論について語ってもらった。<全3回の3回目> <次の関連記事があります> ・「全力で殴り合う準備」せずに侵攻したロシア ・米露による合意は「降伏の強要になりかねない」 「軍事屋」から見た安全保障 ――日本は米国と同盟関係にありますが、日本の安全保障についてはどう考えますか。 ◆大国の抑止には、究極的には核兵器が必要だというのが私の考えだが、それで「米国がいるからいい」という話にならないのは、(核保有国が相互に核で抑止している状態では安定が成立する一方、核兵器が使われる可能性が低くなるため、通常兵器による戦争が起こりやすくなる)「安定・不安定パラドックス」が起きうるからだ。 2023年に広島
LLM テクノロジーの普及を阻止しようとしても無駄だけれど,輸出規制はまだ機能しうる. 先日 DeepSeek っていう中国企業がリリースした一連の大規模言語モデルの性能は,OpenAI や Anthropic といったアメリカ企業のモデルとほぼ互角なうえに,かかるコストがずっと少ないときていた.メディアやテック系界隈の多くでは,これが画期的な出来事として話題になっている――かつての宇宙開発競争における「スプートニック・ショック」と同じことが,米中の AI 競争におきた瞬間だ,というわけだ. 3週間前のロサンゼルス山火事と同じく,DeepSeek の件でも,手に汗いっぱいで心配する声や,声高な意見の開陳やとんでもない誤解などの大袈裟な反応がソーシャルメディアで爆発的に広まった.なかには,いますぐにもアメリカの株式市場が崩壊するぞと息も絶え絶えに宣言する人たちすら現れた: 「DeepSeek
〔訳注:イブラム・X・ケンディは批判的人種理論の代表的論者としてアメリカで非常に有名な人物である。彼の著作は、全米の多くの学校や企業でDEI(Diversity:多様性、Equity:公平性)、Inclusion:包括性)教育・研修教材として使用されている。日本では朝日新聞のインタビューをここで読むことが可能。ケンディは教鞭を取るボストン大学内に設置された反人種差別研究・政策センターの代表を務めていたが、2023年になって大量に集めた寄付金の出所不明な拠出等が問題となった。この事件はアメリカでは大きなスキャンダルとなっている。〕 イブラム・X・ケンディが所長を務めるボストン大学反人種研究・政策センターでのスキャンダルは、当然のように大量のシャーデンフロイデ〔ざまーみろ〕を引き起こしたが、より興味深いのが、多くの識者・論者がひっそりと思っていた「ケンディの主要な見解は、完全にナンセンスである
高校無償化は保護者負担の軽減につながる一方、教育の質の向上につながるかどうかという観点では意見が分かれている。 無償化によって進学先の選択肢が広がれば、公立、私立の間で生徒を確保するために切磋琢磨(せっさたくま)しあえるという論調に対し、慶応大の赤林英夫教授(教育経済学)は「競争の条件を整えるための議論が深まっていない」とし、私立を含む無償化の導入に警鐘を鳴らす。【聞き手・斎藤文太郎】 高校無償化は経済的な事情で希望通りに進学できない子どもに道を開く可能性がある一方で、逆に格差を助長したり、公立の定員割れを招くなどの懸念もあります。 どのように制度設計するのが望ましいのか、有識者に聞きました。日本大の末冨芳教授のインタビューは以下です。 高校無償化、私立も対象にすべきか? 専門家「学ぶ権利は等しく」 後日、全国高校PTA連合会前会長の山田博章さんのインタビューも掲載する予定です。 政治の道
日本維新の会の兵庫県議3人が、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に情報提供した問題は、維新のガバナンス不全を改めて印象づけた。 情報提供は、パワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された斎藤元彦知事の失職に伴う出直し知事選のさなかの行為。しかも立花氏本人が候補者の一人で、斎藤氏を支援する選挙活動を展開していた。 3人の「暴走」は、なぜ止められなかったのか。 <関連記事> 深掘り:維新県議ら次々と関与認める 兵庫知事選で何が? 「(ユーチューブ番組の)『ReHacQ(リハック)』でしゃべります」 19日午後、維新県議団幹部のスマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」に、維新の増山誠県議(46)からメッセージが届いた。 増山氏は、斎藤氏らの疑惑を究明する県議会調査特別委員会(百条委)の委員を務めていた。非公開で開かれた2024年10月25日の証人尋問の録音データを立花氏
本連載は、上海在住経験があり、民主化デモが吹き荒れた香港のルポルタージュなどをものしてきた西谷格氏による、中国・新しん疆きょうウイグル自治区滞在記です。少数民族が暮らす同地は、中国で最も当局による監視が厳しい地として知られています。 ※本編は1週間後に有料へと切り替えます。(#1~#3は無料公開/#1はこちらから) ◆5章 イリ油断の産物 香港から上海、北京、新疆ウイグルへと徐々にリスクの高いエリアに身体を順応させるように移動していたせいで、鈍感になっていたのかもしれない。警察に何か聞かれても「旅行をしている」と答えれば法的な問題はなく、写真を撮るなと言われれば、素直に削除すればそれ以上面倒なことは起きなかった。 油断というのはいつも結果論で、言葉遊びみたいなものだ。たとえどんなに注意散漫でも、何も問題が起きなければ「大胆だ」「やることに無駄がない」という評価になり、油断とは見み做なされな
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