防衛省は2035年に配備予定の次期戦闘機の開発で日本企業1社と単独契約する方式を採用する。月内にも公表する。1社が設計や開発・製造の全体を統括し、共同開発に参加する日米の企業と調整する。試作機を除けば自衛隊の戦闘機では異例の契約方式で、日本企業の開発・製造能力の向上につながる。【正式発表記事】次期戦闘機、10月にも国内1社と契約 防衛省発表これまで航空自衛隊の戦闘機は米国製を輸入したり、米国の機種を日本企業がライセンス生産したりする例が多い。日米共同開発をうたったF2も
政府は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機開発に向けて、機体製造の主契約企業を三菱重工とし、開発パートナー企業の候補を米国の軍事大手3社に絞り込んだ。3社からの技術支援の提案に基づいて年末までに1社を選定した上で、2021年3月までに正式に開発体制を決める。 政府の構想では、機体製造やシステムの統合を担う三菱重工が政府と開発契約を結び、エンジン開発を進めるIHIなど日本の部品製造企業が下請けに入る案が有力だ。ただ、日本企業は敵のレーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機の開発経験がないため、米側からの技術情報の開示や日本側による自由な改修の保証を前提に米側の支援を受ける。 日本政府の協力要請に対して、ロッキード・マーチン、ボーイング、ノースロップ・グラマンの3社が名乗りを上げ、既に三菱重工との協力に関する協議に入っている。空自が00年に導入したF2を巡って、米側からの技術情報の提供が限定的だった経
防衛省は7月7日、航空自衛隊F2戦闘機の後継となる次期戦闘機の大まかな開発計画案を自民党の国防議員連盟(衛藤征士郎会長)に提示した。新たな戦闘機開発は、総予算が数兆円となることが見込まれる大規模な国家プロジェクトだ。国民の理解を十分に得て進めていく必要があるだろう。その一助となるよう、この拙稿では、筆者が入手した防衛省の文書を中心にして、次期戦闘機をめぐる防衛省の検討状況を紹介したい。 ●次期戦闘機のコンセプト次期戦闘機のコンセプト(出所:防衛省資料)次期戦闘機について、防衛省は国産主導で開発を推進し、F2の退役が見込まれる2035年からの配備開始を目指している。現在保有するF2と同数の約90機の導入を想定している。 将来の戦闘機体系のイメージ(出所:防衛省資料)必要な性能や能力として、2018年12月に閣議決定された「中期防衛力整備計画」(中期防)でも記されているように、将来の航空優勢を
(数多 久遠:小説家・軍事評論家) 4月1日に防衛省の外局、防衛装備庁に「F-2」後継となる次期戦闘機担当の装備開発官が置かれると同時に、次期戦闘機開発を“我が国主導”で進める方針が定まりました。 それを受けて報道も活発化していますが、それらの報道には、“我が国主導”による次期戦闘機開発の実現に疑問を呈する論調が少なからず見られます。 しかしながら、防衛省には、誰が見ても極めて困難な“我が国主導”という方針を打ち出さなければならない理由があります。同時に、開発が容易な訓練機を改造した軽戦闘機ではなく、開発が困難な大型で高機能の新型戦闘機を目指さなければならない理由があります。 以下では、そうした防衛省の事情を踏まえて、今後のF-2後継機開発の展望を述べてみたいと思います。 なぜ“我が国主導”を打ち出す必要があるのか 防衛省は、国内での開発能力を維持する分野を絞り、その分野にリソースを集中す
海外輸出が難しい日本の次期戦闘機「NGF(仮称F-3)」のライフルサイクルコストは今まで見たこともない数字になるだろう。果たして日本政府はどのような手段でこの問題を解決するのだろうか? 次期戦闘機「NGF(仮称F-3)」が抱えるライフルサイクルコストの問題現代の兵器調達において性能や価格以外に重要な要素に浮上しているのがライフルサイクルコスト(LCC)だ。 日本も兵器取得を行う際に量産単価ではなくライフルサイクルコスト(開発→量産→運用維持→廃棄に必要な費用の合計)を重視しており、特に国産兵器のLCC削減は急務と言える。例えば日本が開発した国産戦闘機F-2(量産単価約119億円)の総経費は3兆4,732億円になると防衛省が試算しているため、同機の1機あたりに要求されるライフルサイクルコストは約370億円(量産単価の3.1倍)となる。 補足:F-2は試作機を含めて94機量産されたため1機あた
次期戦闘機開発着手へ、国内FACOからF-35A導入 防衛省は、2020(令和2)年度予算を発表した。防衛関係費は全体で5兆3133億円となって、6年連続、過去最高額を更新した。SACO関係経費、米軍再編関係の地元負担軽減分、政府専用機導入経費、国土強靱化のための経費を除けば5兆688億円で、こちらとしても過去最高額となった。20年度には、F-2後継の次期戦闘機開発に着手する。開発初年度は、111億円で国際協力を見据えて戦闘機システムの初期的な設計作業を進める。F-35Aの取得については、中止するはずだった国内組立を継続する。組立技術の向上などによって、経費削減が実現したためだ。さらに短距離離陸垂直着陸(STOVL)機のF-35Bは、793億円で6機導入する。併せて同機の発着艦を可能にするため、護衛艦「いずも」の改修は31億円として、今年度末にも1回目の改修を行う計画だ。 防衛関係費の内訳
防衛分野の航空、海事、技術開発、サイバー、情報収集関連の話題を広く扱っています。
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