中東で民衆デモにより独裁政権が次々倒れた「アラブの春」で幕を開けた今年、北朝鮮やリビアの独裁者や米中枢同時テロの首謀者ら世界を揺るがした最高指導者が相次ぎこの世を去った。IT業界の革命児の死去もあり、一つの時代の終わりを世界に印象付けた。(桜井紀雄) ≪明暗分けた最期≫ その死は19日、国営メディアの「特別放送」という形で突然もたらされた。世界で最も動静が注視されてきた独裁者でありながら丸2日以上秘匿され、統制の鉄壁さを見せつけた。 北朝鮮の金正日総書記(12月17日、69歳で死去)。権力を握ると、ビルマ(現ミャンマー)の爆破テロ(1983年)、大韓航空機爆破(87年)と次々国家テロに手を染める。 水面下では、日本人ら多数の外国人を拉致するという国家犯罪を進める一方で核開発で大国を翻弄。拉致は認めたものの、全面解決とはほど遠い状況だ。年の瀬の世界を不安に陥れたまま、北朝鮮は3代世襲の独裁体