突然といっていいだろう。9月11日、内閣官房・内閣情報調査室(内調)は、情報収集衛星(IGS)で撮影した、鬼怒川の水害の情況の画像を公開した。公表された画像は2枚。デジタル処理で解像度を落としてあるが、IGSで取得した画像が公開されたのは、これが初めてである。 画像公開の背景には、内調が、現在衛星4機体制のIGSを8機体制に倍増させ、さらに衛星間通信を行うデータ中継衛星を新たに保有する意志を示していることがある。 ところが、同じ11日、グーグルは、災害関連情報を集約して表示するサイト「Googleクライシスレスポンス」で、水害地域の詳細衛星画像を公開した。米民間地球観測会社の衛星が取得した画像は、デジタル処理で劣化させたIGS画像より鮮明。かつグーグルマップの上に重ねて表示され、拡大縮小も自由自在。利用者の利便性は衛星情報センターの2枚の画像を圧倒的に上回っていた。虎の子の画像を公開するこ
今回は、純然たる身辺雑記を書こうと考えている。 時事問題にからめて、それらしいコラムを書こうと思えば、できないことはない。作業効率の話をするなら、その種の時事コラムを制作することの方が手軽でもある。 というのも、何十回となく手がけてきたティピカルなテーマについては、最小限の注力で結果をアウトプットする回路が既にカラダの中に出来上がっているからだ。職業的技巧というのは、およそそういうふうなものだ。 でも、今回に限っては、沖縄の基地移転や家具販売会社の経営権の行方にはタッチせずに、自分の話をする。理由は、なにも、1日中病室の天井を見つめている人間が、時事を語らなくても良いのではなかろうかと思ったからだ。 1日の大半を寝て暮らしている以上、1日中寝ている人間でなければ書けないことについて書いた方が自然だ。 ネット上に散在しているテキストとの比較で考えても、そっち(「動かない人間が書いた原稿」とい
(前回から読む) 遠藤:私が三菱電機の現場にいた頃、装置についてはその使い方を学ぶだけではなく、なぜ必要なのかとか、誰がつくったのかなどまで学んでいました。つまり、HOWとかWHATではなく、WHY。そこを学ぼうとしていたし、教える側も教えようとしていました。 野中:よく分かります。 非凡な現場はWHYの塊 遠藤:でも、WHYは教える方も学ぶ方も面倒なんですね。すぐには役に立ちませんし。しかし、そこまできっちりと語ること、学ぶことでその装置に対する理解も深まるし、場合によっては愛着も生まれます。そこが、日本の現場の強いところです。非凡な現場は、WHYの塊なんです。 野中:確かにそうですね。現場と聞いて僕がすぐに思い浮かべるのは米国の海兵隊ですが、あれは徹底的な現場主義で、部下に命令を与えるときは、WHATとWHYで与えます。HOWは任せるんです。 遠藤:HOWは任せる、なるほど。 野中:現
宇宙ロケットのジャンク屋と聞くと、どんなものを想像するだろうか。 自動車でもコンピュータでもなく、宇宙への輸送手段であるロケットや、宇宙に送り届けられる宇宙船、さらには地上設備のジャンクや余剰品を扱った店舗。 宇宙技術自体は、今に直接つながるものに限定しても1950年代からあるわけだから、ジャンク・余剰品が世に出ていても不思議ではない。しかし、実際に町のジャンク店で、宇宙機を見ることがないのは、今のところ量産される性質のものではないからだろう。それこそ、機動戦士ガンダムの「宇宙世紀」にでもなって、人間が宇宙で日常的に活動しなければ、「宇宙ロケットのジャンク屋」は存在しにくいのだ。 そんな中で、世界でたった一つ専門店が存在している。アメリカ・カリフォルニア州ロサンジェルス近く、ノースハリウッドで半世紀以上も営業を続ける「ノートンセールス」。今となっては、歴史の生き証人ともいえるこの店を、つい
「こ、これは……『艦これ』ですか?」 「えっ? あ、はい! そうです。あの、すみません。あなたは日本人…ですか?」 「ええ、そうですけれど…。これは自分で描いたものですか?」 「はい。自分で描きました。感激です…日本人…。恥ずかしいですが、よかったらこれ(イラスト集とクリアファイルを差し出して)、記念に持って帰ってください!」 中国・南京でアニメやゲームの同人イベントが開かれると聞き、足を運んでみた。 会場に足を踏み入れてみると、100以上のブースが置かれ、10代後半から20代半ばと思われる中国の若者たちが自分で書いたイラスト集やクリアファイル、缶バッジ、メモ帳、ノート、ボールペン、キーホルダー、紙袋などを販売していた。その中に上記の男子大学生(21歳)もいて、私に商品(会場でのお値段は60元=約1000円)をプレゼントしてくれた。 中国には日本のアニメを見て日本好きになった若者が大勢いる
日経ビジネスは昨日、「ユニクロ、パートとアルバイト1万6000人を正社員化」として、ファーストリテイリングの大規模な経営方針を報じた。 3月11日、柳井正・会長兼社長は、この決断を、半年に1度同社が開催する巨大会議「FRコンベンション」の場で従業員に打ち明けた。FRコンベンションに集まったのは、国内外のファーストリテイリンググループに務める店長や幹部たち約4100人。柳井会長は壇上から、およそ1時間かけて自らの新たな経営方針を語った。 臨席する機会を得た記者は、その言葉の強さに圧倒され続けた。「180度変える」「全部中止」「失敗」。自らの過去を否定する言葉が次々に飛び出してくる。 柳井会長が従業員に最も訴えたかったことは何か。ファーストリテイリングはこの先、どこへ向かうのか。日経ビジネス3月24日号特集「ユニクロ大転換 柳井正の決断」では、柳井会長が目指す新たな経営方針の全貌を詳らかに解説
「この前の東京オリンピックはどうでした?」と編集長に聞かれた。 冗談じゃない。あれは悪夢みたいな出来事だ。それ以前に突然のように父を亡くし、その頃は結婚したばかりで、会社では課長になったかならないかの働き盛りだ。ところがそこへ持って来て全く思いもよらない体験の最中で、オリンピックどころではなかった。 オリンピックの開催が決定して、世の中はすっかりはしゃいでいた。東京都の知事はそれに備えるように東龍太郎知事となり、新聞にはオリンピックのニュースが満載だ。 その中にオリンピックのためのインフラとして高速道路網を整備するという記事があって、その地図を見るとどうも僕の家のあたりを通ることになりそうなのだ。 悪い予感がしたが、手を廻して予定線の地図を見せてもらうことが出来た。あろうことかやはり僕の家のあたりが高速道路二号分岐線の予定になっているのに間違いなさそうだ。 それまで僕の家は白金の自然教育園
スマートフォン使った決済サービスで急成長する米スクエア。東京都内にある同社の日本法人の入り口をくぐると、オフィスの向こう側から見慣れないロボットがスルスルと近づいてきた。 小さな車輪で駆動する白いボディーから、1.5mほどの高さまで2本のポールが伸びている。その先端に取り付けた薄型ディスプレーにすっぽりと収まって映し出されているのは、若い外国人女性の顔だ。オフィスに並ぶデスクや棚などの障害物を巧みに避けながら、ゆっくり歩きくらいのスピードでやってくる。 米国にいる同僚と「立ち話」 「こんにちは。サンフランシスコは夕方の6時です」。ちょうど誰かと立ち話をするくらいの距離でロボットが止まると、ディスプレーの中の女性がこう言って話しかけてきた。背丈、顔の大きさ、視線の合い方とも、実物の人と話をしている感覚とそう変わらない。会話を続けていると、相手が東京から8000km以上も離れたスクエアの米国本
日本製のモノが、サービスが売れない。性能はいいのに。機能も充実しているのに。壊れないのに。親切なのに。多くの日本企業が直面している、「いいモノをつくっているのに売れない」問題。 なぜ、売れない? それは、日本製品の多くが、かっこよくないから。美しくないから。カワイくないから。気持ち良くないから。つまり、デザインがなっていないから。 どうして、デザインがなっていない? それは、経営者がデザインのことをわかってないから。つまり、経営者が「ダサい」から。だから、デザインをマネジメントできない。 経営者がダサいと、日本企業はつぶれる。では、どうすれば、デザインをマネジメントできるのか? どうすれば、かっこいいを、美しいを、カワイイを、気持ちいいを、商品化できるのか? どうすれば、ダサい経営から、デザインできる経営に転換できるのか? ifs未来研究所所長の川島蓉子が、時代を切り開く現役経営者やデザイ
長らく、日本の農業や地方経済を支えてきた全国農業協同組合中央会。 農協グループ(JA)は種子や肥料、農薬やトラクターなどの農業資材を農家に売り、農家から集荷した作物の販売も請け負う。さらに、大手資本や金融機関が進出しない地域で、農家を相手に資金を貸し出す――。農協が果たしてきた役割は非常に幅広い。だからこそ、農家は農協に任せておけば安心という持ちつ持たれつの関係が構築された。 農協に代わってサービスを始めようにも、金融から販売、流通などすべての機能を代行することは難しい。参入してもビジネスとして成功せずに撤退する企業も少なくなかった。 だが、農協の独占による弊害も出ている。「すべてやってくれるのはありがたいが、いかんせん手数料が高すぎる」。こう漏らすのは岩手県で大規模な生産法人を経営する男性だ。 この男性いわく、今年の大豆の販売価格は1俵当たり7000円だった。ところが、農協を通すと450
2週間ほど前の話題になるが、5月14日にシャープが社長交代人事を発表した。副社長の髙橋興三氏が昇格し、現社長の奥田隆氏はわずか1年余りで代表権のない会長に就く。突然の人事発表に驚かれた読者の方も多いのではないだろうか。 シャープの経営危機については、既に多くのメディアが取り上げており、その点について掘り下げて書くつもりはない。ただし、技術者の立場から気になったのが、赤字に陥った元凶として挙げられる液晶事業への過剰投資だ。主導した現会長の片山幹雄氏は生粋の液晶技術者だけに、技術に対するこだわりが強く過剰投資を招いたことは残念でならない。その一方で、最終判断はトップである片山氏が下したものの、部下からの進言はなかったのか疑問を抱いてしまう。 シャープの事例だけでなく、「トップの思い込み」は時として経営危機を招きかねない。ホンダ創業者である故・本田宗一郎氏は、最終的な判断は自ら下すものの「技術論
『無印良品』の名で知られる株式会社良品計画は、1980年の誕生以来、シンプルで、しかし必要な機能は省くことなく付加された商品を提供してきた。その商品カテゴリーは、衣類、食品、小物、雑貨、家具、家に至るまで多岐にわたる。 そしてそれらを販売する店舗も、2012年2月末日現在、国内は372店舗、海外での展開は『MUJI』のブランドで、中国の38店舗を筆頭に、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、全163店舗を展開している。 そして、リアル店舗への集客、最近の言葉で言うとO2O(オンライン・トゥー・オフライン)を推し進め、また同時に力を入れているのがWebサイトだ。リアル店舗同様に日々顧客が訪れるWebサイトもまた、顧客満足度を高めていくため、常に試行錯誤を繰り返している。今回、そのサイト『MUJI.net』を運営しているWeb事業部長の奥谷孝司氏に最新Web技術の動向を含め話を聞いた。 実店舗に呼
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 米アマゾンが日本で電子書籍端末「キンドル」の販売を開始した少し前、英国ではちょっとした“事件”がメディアを賑わせていた。10月22日、英ガーディアンなどの有力紙や技術系ニュースサイトなどが、ある女性のキンドルから購入済みの電子書籍がすべて、アマゾンによって削除されたと報じた。 その女性は、リン・ニガード氏。彼女によると、事件の経緯は次のようなものだった。 “削除理由”を説明しないアマゾン 今年9月のある日、ニガード氏のキンドルで画面に縞模様が入る不具合が発生し、アマゾンのカスタマーサービスに連絡した。アマゾンは故障したキンドルを新品と交換し、英国の住所に発送すると連絡してきたという。だが、ニガード氏は現在、英国ではなくノルウェーに住んでいる。
先日、重なる入校作業の合間に突然、油っこいものが食べたくなった。仕事が詰まってくると、なぜかいつも体が油を欲するようになる。そこで仕事帰りに近所のコンビニエンスストアを訪れた。目当ては「カルビー ポテトチップス」だ。 普段の生活で、スナック菓子を食べることはほとんどない。けれどもその日は、とにかく、ポテトチップスが食べたかった。手に入るなら「うすしお」でも「コンソメ」でもいい。とにかく、子供の頃から食べ慣れた、あのカルビーのポテトチップスをお腹いっぱい食べたいと思っていた。 普段から愛用しているコンビニである。どの売り場に何が並んでいるのかは、体が覚えている。足は自然に菓子売り場に向かい、そして、いつもの場所で足を留めた。 しかし、である。どんなにじっくりと棚を見ても、目当ての「カルビー ポテトチップス」は見つからない。念のために、小さな店内をくまなく回った。あるわけないと思いながら、日用
金沢は小京都なんかじゃありませんでした。金沢こそ、明日の日本のお手本。そこには驚くほど、これからの地域再生にとって必要な要素が、美しく共存していました。 今回、金沢を訪れたのは、ゼミ旅行。東北芸術工科大企画構想学科の学生たち9人と一緒でした。東北地域ブランド研究所という名前をつけて、主に東北の産物、商店街、企業、お店、人、そして東北そのものをブランディングしようというゼミです。女性が8人を占め周りからは美女ゼミという噂も(笑)。 でも、マーケティングにとって女性の直感やバランス感覚のあるアイディアは不可欠だと思っています。今回は、加賀野菜について研究にやってきました。 「日本」とは何か? 金沢を訪れたことにない方にとって、金沢のイメージは加賀百万石、城下町、武家文化、兼六園など。北陸の観光地といったところでしょうか。ちょっと関心のある方なら、21世紀美術館、加賀宝生流能、和菓子、北前船豪商
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 2012年3月末、アイドルグループのAKB48がワシントンを訪れた。今年は日米友好の証として桜の苗木が日本からワシントンに贈られてから100周年に当たる。それを記念して、AKBが「全米桜祭り」でコンサートを開くことになったのだ。 米国のメディアにはほとんど取り上げられなかったが、唯一、地元でのイベントとあって有力紙のワシントン・ポストが文化面の1面に“J-pop royalty”(J-pop界の王族)と題した記事を載せた。電子版では同じ記事に次のような見出しを付けている。 “Japanese girl group AKB48 breezes through D.C. in whirlwind of cuteness” (「日本の少女グループA
「米国なら50万円でも数千人集まるのに日本ではタダにしても数百人ですよね」。 セミナーやカンファレンス、シンポジウムといった人が集まる催しの話である。本職は記者のはずだが催しを企画することもある。趣旨と題名の決定、プログラムの作成と講師依頼、催しの告知、当日の立ち会い、報告記事の執筆などやることは結構ある。数えたことはないもののかかわった催しの数は50回を超えているだろう。 企業や各種団体にも似た仕事を担当している方がおられる。本業を補完するためにセミナーを企画している人たちである。お会いすると必ずといっていいくらい冒頭の話になる。 例えば、IT(情報技術)関連のカンファレンスを開く場合、米国ではオーランドやラスベガスといった場所で1週間くらい開かれる。色々な値段があるものの数千ドルはする。 驚くのは冒頭の発言の通り、数千ドルを払ってやってくる参加者が数千人いることだ。失礼ながら日本で無名
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