4月14日のコラム「戦略は不変ではなく随時見直してこそ生きる」では、製品戦略のあり方を、いわゆる顧客が一般ユーザーとなるB to Cにおける領域に関して述べた。本コラムでは、一般ユーザーが顧客ではないB to Bのビジネスにおける製品戦略のあり方について述べてみたい。 この場合、B to Cとは異なり、デザイン戦略や新価値ワールドの形成は対象から外れる。一般に、製品供給側はグローバルに見れば、複数社が存在するので、その中での競争が強いられる。 製品群の中では、高価格で売れるものもあれば、高価格では売れないものもある。前者の場合は、性能や機能、信頼性や耐久性で競合他社に対して大きな優位性を持つ場合に限られる。 例えば、サムスンディスプレイやLG化学の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネル、あるいはソニーのスマホ用カメラやCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーはその類だ。そのソニーの
前回、1月7日に「動き出した中国での自動車、電池各社の投資攻防」を公開したところ、貴重なコメントをいただいた。「日本の電池産業界が韓国、中国に押されて競争力を低下しつつある中、グローバルに競争力を維持している材料分野で海外勢に対してガードし、日本の競争力を高めていくべき」という内容である。 この意見は確かに論理的には間違いではないが、現実にはそう簡単な話ではない。すなわち、この分野も既にグローバルビジネスが進行していることで、ガードをかけられる状況ではないことがその理由だ。ならば、どうするべきかという視点も含めて考えたい。 激戦区である中国市場での戦い 1月7日から9日にわたって、中国の深センで自動車の電動化に関する電池ビジネスと技術に関するアジア国際会議が開催された。7日は日韓のスピーカーが講演する海外シンポジウムという形式、8日と9日は中国のスピーカーがプレゼンする形式。参加者はそれぞ
自動車業界における今年最大の話題の1つは、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガスにまつわる不正事件であった。その一方で、車両の電動化の波が大きく寄せてきたともいえる。 そして自動運転に関する各社の精力的な動きがあった。2016年は電動化の更なる拡大と自動運転の本格的な開発競争が始まろうとしている。 車両の電動化と開発競争 2016年は自動車業界にとって大きな動きがある年となるだろう。それは日本、韓国、欧州で販売される電動車両(総じてxEV)用の電池に対して認証制度が始まるためである。 これは国連規制の「ECE-R100.PartII」と呼ばれるもので、車両安全というカテゴリーであるが、電池パックシステムまでを対象にしており、熱衝撃、振動、衝撃、外部短絡、衝突、過充電、過放電といった一連の試験に適合しないといけない。試験評価を実施して認証を得ることで、市場での販売が初めて可能となる。 この対応
韓国のエレクトロニクス産業はサムスングループとLGグループの2強が主導している。1997年のアジア通貨危機を転機に、韓国政府の働きかけで電機電子産業の筋肉体質づくりの一環として2社体制を構築した。 その2強が、各社のビジネスモデル戦略を描き推進している。相互のライバル意識がぶつかりつつ、そして相手側をベンチマークして切磋琢磨しているのが現状だ。 有機ELのビジネスモデルと投資競争で存在感 最近では、LGディスプレーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)への巨額投資が話題になっている。向こう数年間で1兆円以上の投資をして、中小型有機ELパネルの新工場を韓国のパジュに建設するとのこと。2017年内に稼働させる見通しとしているが、その裏付けになっているのが、米アップルが2018年以降に発売するiPhoneに有機ELを採用することを伝えたためという。 LGのこうした動きを加速させているのが、中小
東芝の経営陣が多数引責辞任した事件は社会的にも大きな波紋を呼んでいる。経営トップ自らが社員に直接圧力をかけたことが経営陣の大辞任を招いたものだが、経営側からの圧力は企業を問わず大なり小なりあるのは事実だ。 7月21日の日本経済新聞の1面のトップ見出しには、「東芝、組織的に利益操作」と報道されていた。2008年度から14年度の4~12月期まで、利益操作が1562億円あったとされてる。その結果として歴代社長の3人を始め、多くの役員が辞任するという前代未聞の内容である。 東芝のケースは、これまであまり例を見ないほどの事件である。当時、指示を受けた部下の対応もそれぞれであったろう。不服に思いつつも従わざるを得ずに相当なストレスを感じていた幹部も多かったことだろう。 強い圧力を不服と思い、上層部に進言した者も中にはいただろうが、いたとしたら更迭されていたことだろう。大方は、その圧力に屈して従い、本心
前回は、電池産業の中でも、これから市場の拡大が期待される車載用電池について、日本と韓国のメーカーを中心として今後の動きを占ってみた。今回はそれに続き、やはり市場の拡大が期待される定置型蓄電池に関して考察してみたい。 定置型蓄電池のビジネスは、実は日本の市場に集中している。日本においては家庭用蓄電池としても、さらには産業用蓄電池としても需要がある。高い電力料金の代替、震災などによる被災時の非常用電源としての活用、産業用としての効率的な電力の活用などは、他国にはない日本ならではの条件とも言える。 逆に、電力料金が日本の3分の1程度で、活断層がほとんどなく地震も起こらない韓国では、家庭用蓄電システムのニーズは無いに等しい。産業用途でも、2008年頃から済州島などでの実証試験は行われてきたが、本格的なビジネスモデルとしては成立していない。 欧米でもメガソーラーと直結させて電力の有効活用を図るシステ
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