日本の基幹エネルギーである原子力発電をめぐる諸政策が今、危機のふちにある。 東京電力福島第1原発の事故後、原発に対する菅直人首相の方針が、脱原発色を深めながら迷走を続けているからである。 原子力は、日本の基幹電源であり、生命線であるだけでなく世界が必要としているエネルギーでもある。原子力発電を論じる際には世界の諸情勢を展望して判断する見識が枢要だ。 東日本大震災の被災者が歯を食いしばって耐え、復興に向けて努力する中で、日本国家を支えるエネルギーという基本的な土台が傾き、沈下しつつある。 原発の定期検査後に運転再開ができなくなっている状況は、極めて深刻だ。事故機などを含めて54基のうち39基が止まっている。 再稼働の条件となるストレステスト(耐性検査)の1次評価も実施されるが、来春には全電力の約30%を支えてきた原子力による発電量がゼロになりかねない。 原発が15基しか動いていないにもかかわ