私が政治担当記者になったのは平成元年、1989年だった。 消費税が導入されたのはこの年春。リクルート事件で沸騰していた政治不信に増税批判が加わり、夏の参院選では自民党が惨敗した。以後30年、確かに消費税は平成の政治を動かしてきた。 そんな中で私が画期的だったと今も高く評価しているのは2012年、当時の民主党政権下で、民主、自民、公明3党が合意した「税と社会保障の一体改革」だ。 国の借金は膨らむ一方。少子高齢化は進み、このままでは社会保障は立ち行かない。これは今後どこが政権を担っても放置できない課題であり、ましてや消費税を政争の具にしてはいけない--。そんな発想で与野党の枠を超えて消費税率を引き上げる合意だった。