記事:明石書店 シャン・ノリス『反中絶の極右たち』(明石書店) 書籍情報はこちら 本書の意義 本書は、新たな世界政治の認識枠組みを模索していたわたしに、パズルの最後のピースを与えてくれた。本書の意義は、近年世界中を揺り動かしている旋風の核心にあるものを、ジャーナリズムに基づく調査報道により詳細に明らかにしたことにある。 著者シャン・ノリスは、女性の権利に関する調査報道を専門とするジャーナリスト兼作家であり、とりわけリプロダクティブ・ライツと女性に対する暴力に関心を向けている。 本書は2023年に刊行された。欧米の極右がなぜ中絶に反対しその権利を否定しようとするのか、その運動はどのように展開されているのか、背景にどのような組織が存在しているのか等を探ったものである。 アメリカでトランプ大統領の登場により中絶が非合法化されたことは日本でも報道されたので、知っている人は多いだろう。だが、トランプ
