日本製鉄が脱中国を鮮明にする。20年に及ぶ中国宝山鋼鉄との自動車用鋼板の合弁事業から撤退する。現地鉄鋼メーカーの台頭や中国の成長鈍化など事業環境の変化を踏まえ、戦略の見直しを決めた。今後は需要増が見込める米国、インド、東南アジアの3極に海外事業の軸足を置く。同日、買収を計画する米鉄鋼大手USスチールに13億ドル(約1880億円)を追加投資する計画も公表した。連結粗鋼生産能力1億トンの達成を確実にする。(下氏香菜子) 「“中国で日本同様の高品質な自動車用鋼板をユーザーに供給する”という大きな使命が終わった」。日本製鉄の森高弘副会長は宝山との合弁事業解消についてこう説明する。 日鉄が撤退するのは宝山と2004年に設立した自動車用鋼板の合弁事業、宝鋼日鉄自動車鋼板(BNA)で全保有株を宝山に売却する。BNAは日系を含めた現地の自動車メーカーに鋼板を供給してきたが、8月末の契約期間満了の2年前から