近年、「少年犯罪」や「外国人犯罪」という言葉は独特のイメージを帯びている。未成年や外国人による凶悪犯罪が起こると、少年犯罪・外国人犯罪の増加や凶悪化といった論調がマスコミやネットを賑わすことになりやすい。少年犯罪に関しては、統計的データを基に反論が出されることもあるが、外国人犯罪に関して、そういう議論ははたしてあるのか、前から結構気になっていた。岩男壽美子『外国人犯罪者――彼らは何を考えているのか』(中公新書、2007年)は、「長年社会心理学者として異文化間コミュニケーションに携わり、同時に国家公安委員として治安維持に深く関わっていた経験」をもつ著者が、2004年秋に法務省との共同研究により、「全国五つの刑務所に服役中の犯罪者二一六五名(有効回答、日本人男女一三〇〇名、外国人男女八六五名)」を対象に行なった調査を分析・紹介したもので、「犯罪者自身の目線で捉えた犯罪行為と犯罪者心理」を明らか