「そもそも、私はデータセンターなんて差別化できるもんじゃないと思ってるんです」。さくらインターネットの創業社長、田中邦裕氏は驚くべき率直さで、こう言ってのけた。新幹線に乗って大阪にまで取材に訪れた記者は一瞬たじろぎ、広報担当者の表情を盗み見た。差別化ポイントを取材しにきたのに、そんなものはないというのだ。しかし、自らのビジネスを否定するかのようなこの爆弾発言の裏には、真摯な取り組みに裏打ちされた自信があるのだった。激化する競争環境の中で「自社にしかできない差別化」を徹底して追求する同社のビジネスの根幹とは何か。苦笑いする広報担当には目もくれず、田中社長はやわらかな関西イントネーションで語り始めた。 さくらインターネットは、レンタルサーバビジネスの草分け的存在だ。田中社長は学生ベンチャーに近い形で事業をスタートしている。1996年、まだ舞鶴工業高等専門学校在学中だった学生時代に、「自分の技術