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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (83)

  • 「日本版FCC」は何のためにつくるのか - 池田信夫 blog

    朝日新聞によれば、政府が「日版FCC」をつくることを決めたそうだ。これは民主党が昔から提唱している政策で、私も5年ほど前に議員立法の原案を見せられたことがある。そのとき「何のためにやるんですか?」と質問したら、提案者は「欧米ではみんなやっているから」としか答えられなかった。 7月の情報通信政策フォーラムでも、会場から「規制部門を分離したら具体的にどういうメリットがあるのか?」と質問されて、内藤正光氏(現副大臣)は「政府を批判する放送局を政府が規制するのはおかしい」と言っていたが、彼はFCCが政府機関ではないとでも思っているのだろうか。FCCは職員2000人以上の堂々たる政府機関であり、メディア局にはすべての放送を監視する職員がいて、不適切な放送には最高数十万ドルの罰金を科す。 そもそも特定の番組が適切かどうかを政府機関が審査する必要があるのだろうか。この点については、総務省べったりの

  • 2.5GHz帯はオークションで仕切り直せ - 池田信夫 blog

    日経新聞によれば、ウィルコムが私的整理の検討に入ったようだ。ウィルコムの経営危機はこれまでにも噂されており、筆頭株主のカーライル・グループが金融危機で資金難に陥っていることから、破綻は時間の問題とみられていた。 ASCII.jpでも指摘したように、この事件は「電波社会主義」がいかに非効率な結果をもたらすかの見だ。2007年の2.5GHz帯の割り当てのとき、情報通信政策フォーラムでは「オープンな審査をやれ」と提案したが、ウィルコムは公開討論をドタキャンした。総務省は美人投票の「財務的基礎が充実している」という項目で、ウィルコムにNTTドコモを上回るA評価をつけた。 原口総務相のきらう周波数オークションをやらないと、こういうことになる。官僚はビジネスの結果に責任を負わないので、採算性を考えないで既存業者や政治家の意向を受けて免許を割り当てるからだ。ウィルコムの非常識な美人投票も、「日の丸

  • ソニーVSサムスン - 池田信夫 blog

    ソニーは日のグローバル企業の代表だが、最近はグローバル化の失敗例として引き合いに出されるほうが多い。他方、ソニーに代わってアジアの電機メーカーの雄になったのはサムスン電子だ。書は両社を比較し、その失敗と成功の要因を分析したものだ。 ソニーの最大の失敗は、大賀典雄社長の後継者に出井伸之氏を選んだことである。彼は大賀氏が「消去法で選んだ」と口をすべらしたように、取締役の中でも末席で、ソニー流の技術系でもなく、とりたてて実績があったわけでもなかった。創業者のようなカリスマ性がない点を補うため、彼はカンパニー制にして各部門の独立性を高め、委員会設置会社にして取締役会が"active investor"として巨大化した組織を統治しようとした。 結果的には、これが失敗の原因だった。各期のボトムラインだけを見て資産を組み替える持株会社のような分権型システムは、企業が成熟して開発投資が少なく、オ

  • ユニクロは日本を滅ぼすか - 池田信夫 blog

    今月の『文藝春秋』に出ている浜矩子氏の「ユニクロ栄えて国滅ぶ」という原稿が話題を呼んでいる。日経済のスーパースターと目されるユニクロが日経済を滅ぼすと主張しているので、私も見出しに引かれて読んでみたが、唖然とした。彼女はこう書く:この過激なまでの安売り競争は、さらに一段の不況地獄の先触れではないだろうか。少し落ち着いて考えてみればいい。250円の弁当で1すませる生活が当たり前になれば、まともな値段の弁当や事は「高すぎる」ということになってしまう。(強調は原文)もう少し落ち着いて考えてみよう。「まともな」値段とは何だろうか。浜氏は原価に「適正利潤」を乗せた価格を想定しているようだが、これは誤りである。少なくとも経済学でいうまともな価格(均衡価格)は、限界費用と等しい水準であり、利潤はゼロになることが効率的なのだ。そういう競争をしたら「経済がどんどん縮小してゆき、デフレの悪循環に陥って

  • 民主党の「反ケインズ政策」 - 池田信夫 blog

    TBで教えてもらったが、民主党の「減額補正」の動きをFTが「景気刺激の国際協調に水を差すものだ」と批判している。鳩山内閣の財務相になる予定の藤井裕久氏も、「これはデリケートな問題だ」と認めている。 麻生政権のバラマキ補正は、乗数効果を1としてもGDPを3%押し上げる効果をもつ。未執行分は8.3兆円もあるそうだが、これを全部やめると、GDPは1.6%下がる。これを子ども手当などに回すとしても、来年度以降の話だ。つまり藤井氏の行なっているムダ撲滅は、負の景気対策なのである。これは民主党のバラマキ福祉が「可処分所得」を増やす成長戦略だという説明をみずから否定している。子だくさんの家庭で増える可処分所得の財源をムダの削減でまかなうと、公共事業がなくなって職を失う人々の所得が減るので、マクロ経済的にはプラスマイナスゼロなのだ。 では地底人のように、「どんなムダでもいいから政府が金を使え」という主

  • 「東アジア共同体」という幻想 - 池田信夫 blog

    鳩山氏のNYT論文は、予想どおりアメリカの専門家に酷評されている。オバマ政権は、(鳩山氏の)論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう。それだけでなく、この論文は、米政府内の日担当者が『日を対アジア政策の中心に据える』といい続けるのを難しくするし、G7の首脳も誰一人として、彼の極端な論理に同意しないだろう。中国が世界最大の対米輸出国になった時代に、グローバリゼーションを否定して「東アジア共同体」なるものを提唱する発想は信じられない。これもどうせ政権についたら修正するリップサービスだろうが、鳩山家に代々受け継がれている「反米のDNA」もあるのかもしれない。 鳩山一郎はハト派ではなく、自民党の「右派」の源流の一つである。岸信介ほど過激な国家社会主義者ではなかったが、ロンドン海軍軍縮条約を「統帥権干犯」だと攻撃し、これがのちにGHQにとがめられて公職を追放された。

  • アゴラ起業塾 第3回 木村剛氏「官製不況を打破しよう」 - 池田信夫 blog

  • 長期的関係の呪い - 池田信夫 blog

    きのうの記事の続きだが、日の自殺率がなぜこれほど高いのかというのは、かなり深刻な問題だ。それが「失われた20年」に増えたことから考えても、いま日社会が直面している変化を象徴しているように思われる(テクニカルで長文)。 基的な原因として自殺を名誉ある行為とする文化があり、経済的な苦境や高齢化による病気が増えたことも事実だろう。しかし時系列データでみても、1990年から10年ほどの間に1.5倍にも激増したのは、ただの不況や失業の問題とは思えない。興味あるのは、主要国の中で韓国の自殺率が日と並ぶ高さになり、しかも同じように90年代以降、急増していることだ。以前の記事でも書いたように、日韓国は「双子国家」であり、両国には相違点が多いが共通点も多い。似ているのは、日の系列や韓国の財閥に代表される長期的関係によるガバナンスが崩壊しつつあることだろう。 囚人のジレンマから協力が発生する

  • マイナスの需給ギャップ - 池田信夫 blog

    GDPが上昇に転じて、麻生首相は「景気が底を打ったのは自民党のおかげだ」と自慢しているが、日銀は慎重に見ているようだ。水野温氏審議委員によれば、日の潜在成長率が、われわれが思っていたより下がっているかもしれないという話をした。マイナスのギャップが存在して、それが縮まるペースが鈍いということを考えれば、当然、2010年度から11年度にかけて、マイナス幅の縮小が緩慢であるということはいえると思う。「マイナスの需給ギャップ」というのは奇異に聞こえるだろうが、理論的にはありうる。以前、アゴラに書いた記事の図をコピーすると、次のように潜在成長率が大きく下方屈折してY"になり、実際の成長率がYのようになっているとすると、自然水準(潜在GDP)に到達するためには、今より成長率が下がる必要があるのだ。 政府の「景気対策」は、潜在成長率Y'が変わらず、GDPギャップΔYがプラスだということを前提にしてい

  • 「成長戦略」についての混乱 - 池田信夫 blog

    先日、ある記者に「自民党が急に『成長戦略』をいいはじめたのは池田さんの影響じゃないんですか?」ときかれた。たしかに7月28日の記事で「民主党は分配の話ばかりで、その原資をどうやって大きくするのかという話がない」と指摘し、「自民党が成長戦略を打ち出せば、勝ち目もあるかもしれない」と書いたら、その3日後に自民党が「成長戦略」をマニフェストのトップに掲げ、麻生首相が同じようなことをいいだしたのには驚いた。 まぁ偶然だろうが、当ブログには衆議院からのアクセスも多い。議員秘書のみなさんは真剣に勉強しているので、少し教科書的なおさらいをしておくと、成長率を高める方法として、次の3つが考えられる:財政政策:政府支出の追加によってGDPを増やす ターゲティング政策:特定の産業を政府が助成する 規制改革:競争を促進して市場を拡大するこのうち1は短期の景気対策で、確実にGDPは上がるが効果は一時的なので

  • 「内需拡大」についての誤解 - 池田信夫 blog

    池尾・池田で「外需主導を脱却して内需を拡大する必要がある」と書いたとき、一つ心配があった。これを前川リポートと同一視されると、あのときのように内需拡大が「公共投資の拡大」と誤解されるおそれがあったからだ。その懸念は、残念ながら現実になってしまった。民主党のマニフェストは「成長戦略」についての修正で、子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により、家計の可処分所得を増やし、消費を拡大します。それによって日の経済を内需主導型へ転換し、安定した経済成長を実現します。と書いているが、これは誤りである。このような「内需」の財源はすべて税か国債であり、所得再分配にすぎない。たとえば子供手当をもらう家庭の可処分所得の増加は、配偶者控除や扶養控除を減らされる子供のない家庭の可処分所得の減少で相殺されるので、ネットの消費は増えない。 成長戦略とは、みんなの党だけが正しく認識してい

  • [高校生の経済学] 関税と所得補償 - 池田信夫 blog

    民主党が日米FTAについてマニフェストを修正する方針を決めたことに対して、小沢一郎氏が異議を唱えた。農業所得補償は「農産物の貿易自由化が進んでも、市場価格が生産費を下回る状況なら不足分は支払うという制度。消費者にとってもいいし、生産者も安心して再生産できる」という彼の議論は、経済学的にも正しい。これをマンキューの教科書の図をウェブで借りて説明しよう。 輸入米の需要と供給が図のようになっていて、均衡価格はP1だとしよう。このとき消費者余剰はA+B+C、生産者余剰はD+E+Fとなる。ここで輸入米に関税をかけて、価格をPbに引き上げると、輸入量がQ2に減るので消費者余剰はAだけになり、生産者(海外農家)の受け取る価格はPsに下がるので、生産者余剰はFだけになる。B+Dが税収として政府に入るが、C+Eは誰の得にもならない社会的な損失であり、死荷重とよばれる。 ここで関税を廃止して価格がP1に下

  • マクロ経済学の「暗黒卿」、反論する - 池田信夫 blog

    Economist誌に「マクロ経済学の暗黒時代」を作り出した元凶と名指しされたロバート・ルーカスが、これに反論しているが、今ひとつ切れがよくない。効率的市場仮説については、こう弁護する:Over the years exceptions [of the EMH] and “anomalies” have been discovered (even tiny departures are interesting if you are managing enough money) but for the purposes of macroeconomic analysis and forecasting these departures are too small to matter. The main lesson we should take away from the EMH for p

  • [中級経済学事典] 長期的関係と戦略的行動 - 池田信夫 blog

    人は戦略的行動が苦手だとよくいわれるが、その原因はゲーム理論でよく知られるフォーク定理で説明できる。これは経済学部の学生なら知っているが、90年代以前に勉強した人には何のことかわからないようなので、簡単に説明しておこう。長文でテクニカルなので、ゲーム理論に興味のない人は読む必要はない。 ゲーム理論というと、囚人のジレンマぐらいは知っている人が多いだろう。これは図のように、2人のプレイヤーが協力(C)するほうが裏切る(D)より望ましいのだが、合理的に行動すると両方とも裏切ることがナッシュ均衡になるゲームだ: このパラドックスは、1回限りのゲームを考えるかぎり避けることができないが、ゲームが無限回くり返されるとすると、避ける方法がある。プレイヤーAが一方的に裏切ることによって得られる一時的利益は3だが、2回目のゲームからは相手のプレイヤーBも頭にきて裏切ると、両方とも利得は1になるから

  • 誰から取り、誰に与えるか - 池田信夫 blog

    きのうの「アゴラ起業塾」では時節柄、選挙の話が出た。堀江さんは「自民党も民主党も、老人のための政策しか掲げていない。40歳以上が人口の半数を占め、投票率も老人のほうがずっと高いので、若者はい物にされる運命だ」といっていた。きのう出た自民党のマニフェストも、「責任力」をうたいながら長期の政策は何もなく、消費税の引き上げすらぼかしてしまう無責任なものだ。 「格差社会」が叫ばれ、選挙では所得再分配の政策ばかり出てくるが、書も明らかにするように、日の最大の格差は世代間格差である。賦課方式の年金というのは「国営ネズミ講」であり、人口増加と成長が止まると破綻する。ところが政治家が好むのは、個人間格差を埋める子供手当のようなバラマキ福祉や地域間格差を埋める地方への補助金だ。 著者は世代間格差の最大の原因となっている年金制度について、時間をかけて個人勘定に移行すべきだと提案している。その場合、自

  • フリードマンがもし生きていたら・・・ - 池田信夫 blog

    アンナ・シュワルツがNewsweekで、ミルトン・フリードマンが生きていたら今回の問題をどう論評するかを「チャネリング」している。フリードマンのカジュアルな口調でやってみると・・・ベンは「フリードマンとシュワルツは正しかった。私は1930年代のFRBの過ちは繰り返さない」といってるそうだけど、彼はわれわれのをちゃんと読んだのかね。アンナと私が書いたように、FRBの金融引き締めが大恐慌を拡大したのは1933年までで、その後の主な問題は金融じゃない(たぶんFDRが実質賃金を上げたことだ)。今はもう流動性不足じゃないんだから、これ以上通貨供給を増やすのは有害無益だ。大恐慌と今回とはまったく違うんだよ。 天国から見ていると、今回の状況はむしろ70年代のスタグフレーションに似てるね。あのときも原油価格の高騰に対して政府が右往左往し、無原則なバラマキ財政でインフレを拡大し、経済を破綻させてしまった

  • 特別セミナー「自民党と民主党に情報通信政策を聞く」 - 池田信夫 blog

    未曾有の経済困難ともいわれる昨今、脱出策の一つとして情報通信に注目が集まっています。アメリカではオバマ政権が全産業分野に情報通信の利点を適用して産業を活性化させようと動いています。電力網を再構築するスーパーグリッド計画では当然、グリーンニューディールでも情報通信は重要な役割を担っています。わが国でも年6月に総務省の「ICTビジョン懇談会」が最終報告を発表するなど、情報通信重視の方向への動きが見られます。 まもなく衆議院選挙が実施されますが、政権を争う自民党と民主党はどのような政策を掲げているのでしょうか。今回はNPO情報通信政策フォーラムとNPOマニフェスト評価機構の共催で、両党の政策担当者にご出席いただくセミナーを次の通り開催します。 日時:2009年7月24日(金)18:30〜20:30 会場:虎ノ門パストラル 新館6階 ロゼ (地下鉄日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩2分、銀

  • 貨幣の廃止? - 池田信夫 blog

    Times Onlineによれば、デフレにともなうマイナス金利の問題を解決する方法として、現金を廃止する改革案が日で検討されているそうだ。私は聞いたことがないが・・・ これは当ブログでも何度か説明したゲゼルの「スタンプ貨幣」をさらに過激にし、硬貨や紙幣を廃止して、すべて電子マネーに替えるというものだ。こうすれば、中央銀行が電子マネーにマイナス金利をつけることも自由自在になる。それがもっとも容易なのは、6種類も電子マネーの普及している日だという。似たような案は岩村充氏も提案しており、技術的に...

  • マルクス・ブーム - 池田信夫 blog

    このごろ都内の屋に「マルクス・コーナー」が目につく。『資論』が、去年の4倍も売れているという。この週刊東洋経済の特集で識者が推薦しているも、『資論』が多い。たしかに今でも、資主義の質をもっとも深いレベルで明らかにした古典だろう。少なくともこれを読まないで「ネオリベ」を罵倒したり「階級闘争」をあおったりするのは、物笑いのたねになるだけだ。 とはいえ、これを通読した人もほとんどいないだろう。その解説も今年たくさん出てきたが、読む価値のあるものは、私の立ち読みしたかぎり1冊もない。最悪なのは、三田誠広『マルクスの逆襲』だ。作品を死後70年も私有財産として独占しようとする利権オヤジに賞賛されていると知ったら、マルクスは怒るだろう。『資論』を中心にしてマルクスの思想をやさしく紹介した入門書としては、廣松渉が晩年に書いた『今こそマルクスを読み返す』をおすすめする。 この他に、私が週

  • 何も破壊しない日本が破壊される - 池田信夫 blog

    最近ブログ界では日に見切りをつける話が流行しているが、Economist誌も日には匙を投げたようだ(要約はいつもの通り適当):日はながく業界を守る「護送船団行政」を続けてきたが、今回も史上最大のバラマキによってそれを続けようとしている。欧米諸国でも似たような政策は行なわれているが、それは例外であり、きびしい批判にさらされている。しかし日では、税金を「ゾンビ企業」に資注入することが当たり前のように受け入れられている。 これはきわめて有害である。日には、利益の出ない会社が多すぎる。たとえば携帯電話メーカーは8社もあり、そのほとんどは赤字だ。こういう企業は自分の首をしめているだけでなく、貴重な資と人材を浪費しているのだ。おかげで日企業のROEはアメリカの半分しかない。 この大不況にあっても、日企業の廃業率は英米の半分しかなく、倒産は15%しか増えないと予想されている。欧州で