もしかしたら最終戦の埼玉スタジアムで、赤の6番がピッチに立つ姿はもう見ることができないのかもしれない。チームが優勝の目標を切り替え、C大阪戦へ調整を始める中、一人離れて仲間が体を動かし続けるのを見守っていた。 理由は体に張りがあるため。「緊張感がなさすぎて体のあちこちが痛くなってきた」。これまでどんなけがにも強く、史上3人目のJ1通算500試合出場を達成した鉄人に異変が生じたのか。 「体と気持ちが一緒で、ついていかない。今まで同じ感じでやってきたのに」。前節の鳥栖戦ではベンチ入りしたものの出番はなく、チームは優勝を逃したばかり。表情はいつも通りだが、言葉はどこか寂しげだった。 その中で一足先に上がり、最後のファンサービスには丁寧に応じた。集まった約350人のサポーターに心を込めて約1時間、サインを書き、写真を撮り、数え切れないほどのプレゼントをもらっていた。「お別れみたいになっちゃった」と