5年前の東日本大震災では、太平洋沿岸の鉄道も大きな被害を受けました。いまだに復旧していない鉄道がある一方で、岩手県沿岸を走る第三セクターの三陸鉄道は、おととし4月に全線での運転を再開。NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」の効果もあって、知名度は全国区になりました。 しかし、震災への関心が徐々に薄れるなかで、利用者の確保が課題になっています。震災当時、NHK盛岡放送局で勤務し、今回再び現地に取材に入った経済部の橋本知之記者が被災地の鉄道が抱える課題を解説します。 あの日から5年 混雑した三陸鉄道 震災の発生から5年となった3月11日の午後2時46分。私は、岩手県大船渡市の三陸鉄道の三陸駅のホームで、乗客たちが海に向かって黙とうをささげる姿を取材していました。 乗っていた列車は「震災学習列車」。三陸鉄道が震災の教訓を語り継いでいこうと運行している列車で、乗客たちはガイド役を務める三陸鉄道の社員