いわき市は東日本大震災の津波で被災した旧豊間中の校舎の一部について、国の復興交付金を活用して保存する震災遺構の候補に選んだ。住民の賛否が分かれているため、地元の3行政区に意見集約を要請。地元の意向を踏まえ、年内に保存か解体かを決める方針だ。 旧豊間中は鉄筋コンクリート3階(延べ床面積2455平方メートル)で、1階部分が津波被害を受けた。2、3階は損傷がなく、震災当日が卒業式だった3年生が寄せ書きをした黒板などが残っている。当時、校舎には約30人の生徒がいたが、避難して無事だった。 市の構想では、震災の教訓を伝え、防災・交流の拠点とする。福島県が整備する防災緑地の用地に掛かる校舎東側の半分近くを解体し、西側を残す。1階部分はアルバムや資料などの保管庫、3階を震災の記憶と教訓を伝える場所、2階を市民活動のスペースにする。 豊間中の地元である薄磯、沼ノ内、豊間3行政区は最大で9メートル近い