国民の老後を支える公的年金が、海外の年金よりも高いリスクで運用されている。米国などでは、最低限の保障に必要な年金部分は株式の運用をしていないが、日本は基礎年金までも株式の積極運用に踏み出したためだ。こうした運用で、より多くの資金が株式市場に流れ、平均株価が一時2万円台を回復するなど株高が演出されたが、「株価が下落すれば、年金全体が大打撃を受ける」との懸念も強い。 (大森準) 年金積立金の株式運用について、安倍政権は成長戦略の一環として重視。政府の「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」(座長・伊藤隆敏政策研究大学院大教授)は二〇一三年十一月、収益性を高めるために株式投資を増やすよう促す報告書もまとめた。 これを受け、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、三谷隆博理事長)は昨年秋、運用方針を大幅変更。全国民共通の基礎年金(国民年金)と、サラリーマンが加入する厚